Google広告の顧客リスト除外で確実にCPA改善

Google広告の相談を受けている中で、多くのアカウントで「既存顧客への広告配信」によって広告費が余分に使われていることが分かっています。

既存顧客とは、例えばECサイトでいえば「一度購入したユーザーが、その後に何かしら情報の確認などでサイトを閲覧する際に有料広告をクリックして課金される。本来の目的はまだ購入していない新規購入者の獲得で、そちらに広告費が使われて欲しかった」ことです。

会員登録サイトであれば「まだ会員登録をしていない新規ユーザーを対象に会員登録者の獲得を目的とした広告を配信したい。しかし、既に会員登録済のユーザーが再度サイトの情報を確認する際に広告をクリックして広告費が余分にかかってしまう」といった現象です。

せっかく広告費をかけて頑張って広告の費用対効果(CPA/ROAS)の改善作業を行っていても、このように既に内容を知っている既存顧客にクリックされてしまうケースが少なくありません。

既存顧客は広告を出しても出さなくても自力でサイトにたどり着ける場合が多いので、一人ひとりのクリックであれば少額ですが実は合算すると多額な広告費の無駄使いにつながっていることがあります。

そこで重要になってくるのが、「既存顧客リストの除外設定、すみ分け」です。

本記事で紹介するGoogle広告での顧客リストの設定を適切に行えば、広告の配信対象から既存顧客が除外され純粋な新規ユーザーだけにターゲットを絞ることができます。

だいたい10-20%くらいの広告費が既存顧客へ配信されていると、実際の広告のCPA/ROASも10-20%くらい改善される推算になります。

本記事では、そのGoogle広告における既存顧客の除外設定の具体的な方法について解説していきます。
昨今のデジタル広告における競争激化と広告単価の上昇を考えると、このような広告最適化の取り組みはますます重要と言えるでしょう。

コンバージョンユーザーの除外設定

一つ目は、コンバージョンユーザーリストの除外設定です。
これは既に多くのアカウントで適用されている設定なので、まだされていない場合は至急設定しましょう。

具体的な除外設定の手順は、Google広告の管理画面で「オーディエンス」をクリックします。
そこで、コンバージョンタグで設定したタイミングで自動的に作成されている「コンバージョンユーザーリスト」を確認することができます。

これを該当するキャンペーンの設定画面で、除外オーディエンスのところからオーディエンスを選択して設定します。
このように設定することで、既にコンバージョンを達成したユーザーへの広告配信を除外することができます。
これだけで既存顧客への広告配信を防ぐことができるのであれば、行わない理由はないですね。

実際に、この設定を導入した多くのアカウントで、CPAや広告費用対効果(ROAS)の改善が見られています。
あるECサイトでは、広告費を20%削減しながら新規顧客からの売上を15%増加させることに成功しています。

顧客リストをアップロードして適用

既存の顧客データをまとめたExcelやスプレッドシートをGoogle広告に直接アップロードする方法もあります。
アップロードする顧客リストにGmailアドレスが含まれていれば、GoogleがID情報を元にGoogleネットワークの閲覧状況をある程度把握できて配信有無を制御できるようになります。

以前はCookie情報でWEBサイトの閲覧情報から取得していたけど、ブラウザ側でブロックされるようになって原理が変わっています。
電話番号やその他の個人情報も含めることができるものの、マッチング精度の観点からGmailアドレスのほうが効果的です。
アップロードされたリストは、Googleのシステムによってハッシュ化されて自動的に記号に変換されるので、同じGoogle広告の権限者に見られることなく、顧客ユーザーリストが維持されます。つまりプライバシーに配慮した方法で行われ、個人情報が広告配信以外の目的で使用されることは基本的にはないです。

例えば、過去1年間に実店舗で購入した顧客のメールアドレスリストをアップロードすることで、それらの顧客に対する広告表示を防ぐことができます。
逆に「去年の夏に買ってくれた顧客のリストに向けて、新たな商品の広告を配信したい」という配信もできます。

ただ懸念点としては、リストのアップロードは定期的に更新して行わないと古くなってしまう点です。
顧客数の変動が著しい企業の場合、月1回か2回程度の更新が望ましいでしょう。
またデータの鮮度を保つため、直近2年以内の顧客データを使用してそれより古いデータは消去することも必要です。
このように顧客データを手動で更新しながら鮮度を保つことで、より効果的な広告キャンペーンの運用が可能です。

顧客リストのツールごとGoogle広告に連携して適用

先ほどのアップロードの方法は手動の場合が多いですが、顧客リストを保存したツールごとのGoogle広告に連携して「自動」で更新する方法もあります。

例えば、HubSpotやBigQueryなどの外部ツールです。
Google広告の「データマネージャー」から連携したいツールを選んで、連携作業を進めていきます。
一覧にあればそのツールは顧客データベースやCRMとしての機能を持っていて、蓄積された顧客情報をGoogle広告に自動的に連携できます。
これにより、複数のデータソースから収集した顧客情報を統合してより精緻な除外リストを用意することができます。
また手動でのリストアップロードが不要となり、運用担当者の作業負荷を減らすこともできます。
あるECサイトでは、ツール連携の導入後、データ更新の作業時間を月間で15時間以上削減できた事例もあります。
さらに自動連携することで、顧客リストがリアルタイムに更新されます。

例えば、ECサイトで購入が発生した直後から、その顧客への広告配信を自動的に停止することができます。
商品の購入サイクルが短い業種や、顧客の入れ替わりが激しい商品において、広告効率の改善に繋げられます。

このように購入(登録)後の顧客リストを自動更新できれば、広告配信の対象を常に最新の状態で新規ユーザーに限定することができます。
広告予算を純粋な新規顧客の獲得に集中させることで、CPAの改善やコンバージョン率の向上につながります。

特に大規模なキャンペーンであればあるほど、改善幅も大きくなります。

既存顧客の活用で実現するCPA改善

■顧客リストだけ除外設定
 「購入済、登録済ユーザーなので広告が出て欲しくない」
→ CV設定で「除外」

■顧客リストだけ配信設定
 既存客向けのキャンペーン、アップセル商品の訴求で、そこだけに配信したい
→リストをアップロードしてキャンペーン/広告グループのオーディエンスに紐づけ

■既存客リストのGoogle広告への反映
①「オーディエンスマネージャー」でアップロード
②「データマネージャー」で顧客リストが保存されているツールを連携


上記の既存顧客の除外設定を実施することで、広告配信を新規ユーザーに限定して、広告効果を改善することが可能です。 この効果は、CPAの低下という形で明確に現れます。
既存顧客への無駄な広告表示が減ることで、広告費用の効率が大幅に改善されるためで、購買意欲の高い新規顧客層にピンポイントでリーチできるようになっています。

この効果は、長期的なビジネス成長の観点からも重要です。
例えば、定期購入型のビジネスモデルでは、新規顧客の獲得コストを抑えることで、顧客一人あたりの生涯価値(LTV)に対する投資効率が大きく改善します。
また、Google広告に限らず、FacebookやTwitterなどの他の広告プラットフォームでも適用できます。

実際、複数のプラットフォームで既存顧客の除外設定を導入することで、より効果的な広告配信が行えるようになります。
なお、この効果が本当にあるか確認するために、定期的なデータチェックと効果測定は必要です。
月次や週次での効果検証を行い、必要に応じて設定の微調整を行うことをお勧めします。

実際に今の広告アカウントの状況を見て、既存顧客や除外設定、媒体選定などが適切か分からず不安に感じている方は、弊社の広告アカウント診断でご相談頂ければCPA/ROASの伸び幅がどのくらいあるか推算でお伝えすることができます。

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