Looker StudioでGoogle/Yahoo広告データを自動連係・合体する方法

LookerStudioはGoogle広告やその他のデータを無料で連係できて、多くの広告運用者に使われています。

広告運用では、Google広告とセットでYahoo!広告で配信する広告主の方も多いですが、今まで両方のデータを合体して結果を表示するにはYahoo!にAPI申請するなど高いハードルがありました。
しかし、2023年2月にYahoo!広告スクリプトがリリースされて、コードを設定すれば簡単に出力できるようになりました。

当サイトでも過去にYahoo!広告からスプレッドシートへの出力の記事で詳細をまとめています。

Google広告の結果をスプレッドシートへ出力する方法もあります。

今回はこれらの方法を組み合わせて、Google広告とYahoo広告の昨日までの広告結果をLooker Studioで連携、可視化したのでご紹介します。 Looker studioでは「データ統合」を使えば、2つの異なる媒体の結果を合体できます。
Google広告を直接Looker studioに接続することも可能です。しかし、それではデータが限定されてカスタマイズができないため、Yahoo!広告とのデータ統合は難しくなります。
以下に、Google広告とYahoo!広告を同じ流れで、それぞれのスクリプトを使ってスプレッドシートへ出力してLooker Studioへ繋げて図表に可視化しています。

データ出力のためのスプレッドシート準備

まず、データを出力するためのスプレッドシートを用意します。
出力したいレポートごとにタブを分ける必要があります(キャンペーンレポート、キーワードレポート等)。 タブ名は自由に決められますが、区別しやすいように命名ルールをつけています。レポートの種類やタブ名は下記を参考にしてください。

・媒体別:Google広告→「G」、Yahoo!検索→「YS」、Yahoo!ディスプレイ→「YD」
・レポート種類:広告グループ→「ADG」、キーワード→「KW」


あくまで一例ですが、こうすることで後からファイルを開いた時に、タブを見るだけで中身が分かります。
また、シートの中身はスクリプトで自動抽出されるため、何も記入しなくてOKです。

Google/Yahoo広告管理画面でスクリプトの設定


次にGoogle、Yahooそれぞれの広告運用画面で、スクリプトの設定を行っていきます。
詳細は冒頭にも記載した別の記事で、それぞれの手順を確認できます。基本的な設定は下記記事を参考に設定してみてください。スクリプトの事例も解説しているので、コピペでも設定可能です。

Google広告のスクリプト出力設定
Yahoo!広告スクリプト出力設定


運用画面でスクリプトの設定が完了して「出力」ボタンを押すと、スプレッドシートへ各レポートのデータが出力されます。
データの期間については、スクリプトで「過去30日(都度更新)」か特定区間(例:今年の1月1日~昨日)など選べます。
弊社では、①過去30日を日別と②今年1年を月別と2つを出力することで、短期間と長期間の両方の数値推移を把握できるようにしています。

Looker studioの2つのデータソース結合

ここまで準備ができたら、今度はLooker studio側で設定を行います。

Looker studioを開き、「データソースの接続」で、①Google広告、②Yahoo!検索の2つの広告グループレポートを上記のスプレッドシートで選択して、それぞれ接続してデータソース一覧に登録します。

今回は広告グループ別の結果を見たいため「広告グループレポート」にしていますが、目的に応じて「キャンペーンレポート」など変えて設定しましょう。

そして、上部のメニューから「データ統合」を選び、この2つを統合していきます。

上記のように「Table1」にGoogle広告、「Tablea2」にYahoo広告を接続しました。
次に結合のタイプは下記をとれかを選びます。

結合演算子の種類結合の結果
左外部結合左側テーブルのデータをベースに、右側のテーブルは一致するデータに限定する
右外部結合右側テーブルのデータをベースに、左側テーブルは一致するデータに限定する
内部結合左右両方で一致したデータに限定する
完全外部結合左右両方のすべてのデータを抽出して限定はしない
クロス結合左右両方の全データを組み合わせてデータを抽出する

「どれを選ぶのが良いか」は目的次第でもありますが、「完全外部結合」であれば左右の全データが保持されるのでお勧めです。今回もこれを選びます。

そしてその下の「結合条件」では、どのディメンションや指標を連結するか、つまり異なるデータソース同士をLooker Studio上で同一の指標として認識させるか設定します。
これを行わないと別々の指標と見なされて結合されません。

下記のように、「campaign.name」「CAMPAIGN_NAME」を同じ列に並べて鎖マークで繋げることで、後々の図表で可視化する際に同じ項目で費用、CVなどの結果を同時に表示できます。


データソースの結合ができたら、次はLooker Studio内のページ上で表を作成します。
このときにディメンション一覧から指標を選ぼうとすると、表1と表2の両方が上下に並んで出てきます。
ただ、シート上ではデータソースの別々の指標が表示されているので、このままでは結合できていない状態です。


そこで、フィールド式で日付やキャンペーン、費用など結合させたい指標をそれぞれ結合させます。

■日付
IFNULL(day,segments.date)


■合算費用
IFNULL(費用, COST)

※「費用」はGoogleデータソースで、「metrics.cost_micros」を10^6倍してYahoo!の「COST」と揃えていた作成フィールドです。
そして、キャンペーン名も同じように合成したフィールド式を作成します。

■キャンペーン名
IFNULL(campaign.name,CAMPAIGN_NAME)

このようにして、2つのデータソースのデータを、「合算費用」という新たな作成指標を使って連携することができました。他の図表についても同じ手順でIFNULLを使いながらそれぞれの指標(キャンペーン、費用など)を1個ずつ並べていきます。

Google,Yahooの3つのデータソースの結合

Google広告とYahoo!広告を合体させてデータを確認することができたので、次にYahooo!検索だけでなく、ディスプレイのデータも結合してみます。正確には、Yahoo!広告はYahoo!検索とYahoo!ディスプレイの2つの画面に分かれていてアカウントや集計するデータも別々となっています。
今度は3つのデータソースの連携ですが、同様の手順で行えば問題なくできます。


フィールド式を作成する際に、「IFNULL」は2つまでしか並べられないので、その外側に1個ずつ追加で「IFNULL」を加えてあげればできます。
下記のように「表1」「表3」など、同じ指標名が出てきたときにデータソース名で区別するための表記が出てきますが、入力する途中で候補が表示されるのでそれに合わせて選んでいけば、正常に表示できます。

■キャンペーン名
IFNULL(CAMPAIGN_NAME (表 1),IFNULL(campaign.name,CAMPAIGN_NAME (表 3)))


データソース名については、「(Table Name)」の部分を下記のように予め区別できる名前に変えることで、その後の操作で出てきても何のデータソースかすぐに分かるようになります。

データの見やすさと判断のしやすさ


ここまではデータ連結の話でしたが、実際の図表を作ってデータを集計していく段階でも工夫が必要です。
ポイントは、「数値データを見ることで、判断しやすいかどうか」です。

DXなど一般的には「自動化」のキーワードが重要になっていますが、集計したデータを見て何も気づきがなかったり、どんな判断をすれば良いか分からないと本末転倒です。

チームのメンバーで見るのであれば、一番詳しい人ではなく平均的な理解レベルに合わせて図表を可視化しないといけません。
例えば、弊社で取り組んでいる集計法とそれぞれの箇所で気づけるポイントは下記のとおりです。


日別の広告媒体別の数値がまとめて一目で見れる → キャンペーンごとの昨日と一昨日の変化もすぐに気づける
キャンペーン番号ごとの、日別×媒体別の数値がすべて見れる → 横並びで比較できてどのキャンペーンを調整すれば良いかすぐに分かる
日別のキャンペーンの合計値が見れる → 日予算ペースより早いか遅いか、媒体別の比較などすぐに判断できる
キャンペーン番号ごとの今月の合計値が見れる → 費用、CV(CPA)を横並びで比較して良し悪しがすぐに判断できる


このような方法を使わなくても、Google広告とYahoo!広告の運用画面を開いて表示項目を選べば1個1個見れますが、媒体とキャンペーン数が膨大になったり複数のアカウントを見ないといけません。 また、最新データは毎日更新されるので、それを都度更新しながら準備した後に分析を始めるとなるとかなりのストレスになっているのではないでしょうか。
それがこの方法だとデータ集計、更新まで自動で行ってくれて、一目で多くの情報が把握できるのでその後の運用変更や改善判断の部分だけ考えて実行すれば良いことになります。

データソースの結合をすることで複数の情報がコンパクトに納まるので、わざわざ外部のLooker Studioを使う意味があるのです。
それぞれの設定箇所は下記のとおり順番にコードを入力していきます。

⑤日付
IFNULL(data.date_start,IFNULL(segments.date,IFNULL(DAY (YSS),DAY (YDA))))


⑥Media

CASE
WHEN regexp_match(campaign.name,".*((固有の文字列)).*") THEN "Google"
WHEN regexp_match(CAMPAIGN_NAME (YSS),".*((固有の文字列)).*") THEN "Yahoo"
WHEN regexp_match(CAMPAIGN_NAME (YDA),".*((固有の文字列)).*") THEN "Yahoo"
WHEN regexp_match(data.campaign_name,".*((固有の文字列)).*") THEN "Meta"
END
※固有の文字列に抽出(選別)したいキャンペーンに共通する文字列を入力

⑦キャンペーンNo.

CASE
WHEN regexp_match(CAMPAIGN_NAME (YSS),".*((固有の文字列)).*") THEN "01"
WHEN regexp_match(CAMPAIGN_NAME (YSS),".*((固有の文字列)).*") THEN "02"


WHEN regexp_match(campaign.name,".*((固有の文字列)).*") THEN "01"
WHEN regexp_match(campaign.name,".*((固有の文字列)).*") THEN "02"


WHEN regexp_match(data.campaign_name,".*((固有の文字列)).*") THEN "01"
WHEN regexp_match(data.campaign_name,".*((固有の文字列)).*") THEN "02"
END

⑧費用
IFNULL(data.date_start,IFNULL(segments.date,IFNULL(DAY (YSS),DAY (YDA))))

⑨CV
IFNULL(CONVERSIONS (YSS), IFNULL(CONVERSIONS (YDA), metrics.conversions))

「データの統合」はエラーが出やすいので注意

Looker Studioの統合データでは、通常の1個のデータソースの接続に比べて図表作成時のエラーが出やすくなります。

例を示すと、①新たな計算指標を作ったり、①フィルタの条件を複数設定した場合です。
①(IFNULL(費用 (GAD), IFNULL(費用 (YSS), 費用 (YDA))))/(IFNULL(metrics.conversions (GAD), IFNULL(コンバージョン (YSS), コンバージョン (YDA))))
エラー対応に慣れてる担当者が社内に1人いればすぐ解決しますが、慣れていないと原因に1,2時間かけても解決しないということも起こりえます。

それが何回も起こると「結局データの統合を使わないほうが時間がかからない」ということになってしまうので、社内に中身を良く知っていてエラー対応ができる担当者がいるかどうかは重要なポイントとなります。

最後に


このように、無料のLooker StudioでGoogle広告とYahoo!広告のデータを自動で可視化して、一目で多くの情報を把握できて判断しやすい状況になりました。
データの統合にかかる時間を減らすことで、より多くの時間を分析や戦略立案に使えるため、インハウス運用をされている会社様にはお勧めです。

「データのつなぎ方が分からない」
「今まで手作業でデータ集計を行っていたけど、社内に合わせたもっと効率的な方法があるか知りたい」
のようなお悩みがありましたら、フォームよりお問い合わせ頂ければ最適な解決策を提案できるので是非ご利用してみてください。

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