リスティング広告を運用していて「クリック数は多いのに成果が出ない」「広告費が想定以上にかかってしまう」といった悩みを抱えていませんか?
その原因の多くは、自社商品やサービスに関連性の低いキーワードでも広告が表示されてしまうことにあります。
自社商品・サービスに関連性が低いキーワードでクリックされることで、ターゲットユーザーの流入機会が減り、成果が下がってしまうのです。
しかし、この問題を解決する効果的な手法があります。
それが、「除外キーワード」です。
適切に除外キーワードを設定することで、無駄なクリック費用を削減し、CPAの低下・CVRの上昇が期待されます。
本記事では、除外キーワードがもたらす効果から、除外すべきキーワードの判断基準、Google広告・Yahoo!広告での具体的な設定方法まで、成果を最大化するためのノウハウを詳しく解説します。
正しい除外キーワードで広告費を効率的に活用し、ROIを最大化しましょう。
除外キーワードとは
除外キーワードとは、意図しないキーワードでの広告表示を防ぐために、そのキーワードで検索されたときに広告を表示させないよう設定することです。
クエリ除外という表現を使うこともあります。
除外キーワードを行うことによって、本来意図しない検索結果への広告表示を防ぐことができ、無駄なクリックや関連性の低いアクセスを削減できる効果があります。
なお、以前は検索広告のみで選定が可能でしたが、2025年春ごろからP-MAX広告でも設定が可能になりました。
P-MAX広告でも基本的に検索広告と同じですので、この記事では検索広告・P-MAX広告の除外キーワードをまとめて紹介します。
除外キーワードで得られる3つの効果
除外キーワードを行うことで得られる主な効果について紹介します。
無駄なクリック費用の削減

高級ブランド腕時計販売で「腕時計 販売」というインテントマッチキーワードで広告を出す場合を考えてみましょう。
高単価品を扱っているにもかかわらず、このキーワードでは、「安い」「激安」というキーワードで広告が表示されてしまうため、安い腕時計を探しているユーザーが流入してしまいます。
このように、本来の自社商品のターゲット層以外にも広告が表示・クリックされてしまい、無駄なコストが発生してしまうのです。
この場合、「安い」「激安」というワードで除外設定をすることで、「腕時計 販売 安い」のようなキーワードによる検索で広告を表示させなくすることができ、無駄な費用を抑えることができるのです。
CVRの向上・CPAの低下
除外キーワードはCVR・CPAの改善にも役立ちます。
先ほどの例のように、自社商品に関連性の薄い広告でのクリックを防ぐことで、自社商品を求めているユーザーによりピンポイントに広告を表示させることができるようになります、
無駄コストの削減によるCPA低下と、自社商品・サービスに興味を持つユーザーの流入が増えるため、CVRの改善が期待できます。
品質スコアの改善

キーワードの除外により、自社商品と関連性が薄い検索キーワードでの広告表示・クリックが減ります。
そのことにより、広告と検索キーワードとの関連性が高くなるため、広告の関連性が高まることを通じて、品質スコアも自然と上昇するのです。
除外するキーワードの3つの判断基準
では、除外するキーワードはどのように選定するえばよいのでしょう。
除外キーワード設定をする検索キーワードの選定基準を紹介します。
コスト(CPC・CPA)
除外すべきキーワードの判断基準は、CPCとCPAの費用対効果分析が最も重要です。
CPCが高くCVに結び付きにくいキーワードは、広告予算を無駄に使っていることになりますので除外しましょう。
同様に、CPAが目標値を大幅に上回るキーワードも除外を検討する必要があります。
例えば、KPIがCPA2,000円の場合で、CPCが500円で月20回クリック、CV1のキーワードがあったとして、このキーワードはCPA10,000円で、KPIのCPA2,000円を大幅に上回っています。
こういったキーワードは、除外を検討するべきです。
無駄な費用が増えれば、そのぶん全体CPAの上昇要因にもなります。
データに基づいた冷静な判断により、ROIを最大化するキーワード戦略の構築が可能になるのです。
CVが発生しているかどうか
同様に、自社商品との関連があっても、CVが発生しないキーワードは除外するべきです。
広告効果の無駄遣いになるのと、除外して浮いた広告予算がCVを獲得するキーワードでの広告配信に使われるようになり、広告費を効率的に使うことができるようになります。
また、問い合わせは来るものの成約(最終CV)に至らないようなキーワードも要注意です。
コンバージョンデータを基準とした継続的な最適化により、真に価値のあるキーワードに予算を集中できるのです。
自社サービスとの関連性
除外すべきキーワードの判断基準は、自社サービスとの関連性の高さを最優先に考えることが重要です。
自社商品に関連の薄い検索キーワードは除外するべきです。
こういった検索で入ってくるユーザーは自社商品に興味のないユーザーがほとんどであり、広告効果がほぼないためです。
例えば、法人向けクラウドサービスを提供する企業が「個人向け」「家庭用」「無料ツール」などのキーワードで流入を獲得しても意味がありません。
また、先ほどの腕時計の例のように、高級ブランドが「格安」「激安」で集客すれば、広告費の無駄が発生するだけでなく、ブランド価値の毀損にもつながるでしょう。
自社商品を求めているユーザーにピンポイントで広告を配信するため、自社サービスとの関連性が薄いキーワードは除外しましょう。
Google広告での検索キーワード確認・除外方法
実際に、除外キーワードを行う手順を確認していきましょう。
Google広告での検索キーワードの確認方法と除外方法を紹介します。
検索広告、P-MAX広告ともに、手順はおなじです。
検索語句画面から登録
Google広告運用画面「分析情報とレポート」内「検索語句」をクリック
2025年になって検索キーワードが確認できるようになったP-MAX広告の検索キーワードもこの中にまとめて表示され、マッチタイプ欄には「P-MAX」と表示されます。
検索語句の掲載結果が表示されます。
除外キーワードをする場合は、除外対象の検索語句にチェックを付けて「除外キーワードとして追加」をクリックします。
「保存」を押せばそのキーワードの除外は完了です。
なお、完全一致除外の場合は、キーワードの前後に「[ ]」を、フレーズ一致除外の場合は、キーワードの前後に「” “」を付けます。
一括で登録
また、検索キーワードは一括で登録することもできますので、その方法も併せて紹介します。
キーワード → 除外キーワードを選択
右上「+」をクリック
「除外キーワードを追加」を選択し、下の「除外キーワード」欄に除外する検索キーワードを一括で入力。
「保存」を押せば一括で除外が完了します。
Yahoo!検索広告での検索キーワード確認・除外方法
Yahoo広告の手順も紹介します。
検索語句画面から登録
メニュー内「検索クエリー」をクリック
検索キーワードの一覧が表示されます。
除外する場合は、除外する検索キーワードの左側をチェック
上の「一括操作」から、「キャンペーンまたは広告グループに追加」を選択し、追加するキャンペーン・広告グループを選択して保存すれば、完了です。
一括で登録
Google同様に、Yahoo!も一括で登録することができます。
メニューから「対象外キーワード」を選択
「対象外キーワードを追加」⇒「対象外キーワードを作成」
対象外キーワード欄に追加 →マッチタイプを選択後、「キーワードを追加」→右側枠内にキーワードが表示されるので、確認して「作成」
除外キーワードリストの活用術
これまで説明した除外キーワードの手順は、基本的にアカウント全体、キャンペーン、もしくは広告グループごとに設定するものです。
いくつかのキャンペーンや広告グループにまたがって設定する場合は、除外キーワードリスト(Yahooでは対象外キーワードリスト)というものを使うと、効率よく設定できます。
除外キーワードリストとは、除外キーワードをリスト化した1つのグループのことをいいます。
それぞれキャンペーンに紐付けることができ、紐付けたキャンペーンには、リスト内に設定してある除外キーワードが一括で適用されます。
除外キーワードリストを使うことで、特定のキャンペーン・広告グループに共通の除外キーワードを一括して設定することができ、運用の手間が省けるのです。
除外キーワードリストの設定方法や活用例は、こちらの記事を参考にしてください。
コスト削減効果を最大化するコツ
これまで書いたように、除外キーワードは無駄な広告費を防ぎ、CVRとCPAを改善し、品質スコアを上げることにプラスの効果をもたらします。
この効果を最大化させるコツや、除外キーワードの活用法を紹介します。
過度な除外による機会損失を防ぐ
除外キーワードは費用抑制に効果的ですが、除外しすぎると本来CVに結びつくようなキーワードまで除外されてしまい、結果としてCV獲得機会を逃してしまうことがあります。
一方で、CVに結び付くものの、CV効率が悪いキーワードを除外することで、CVRは上昇するでしょう。
過度な除外でCV獲得機会を逃さないようにしつつ、CVRを最大化するよう、バランスをとる必要があります。
ブランド名の除外と広告の出し分け
除外キーワードを設定することで、キーワードごとに配信するキャンペーンを絞り込むことができます。
例えば、非ブランド名キャンペーンでブランド名を除外することにより、ブランド名で検索したユーザーに表示される広告がブランド名キャンペーンの広告に絞り込まれ、ブランド検索しているユーザーのニーズに近い広告が表示されるため、CVRを上昇させる効果が期待できます。
同様に、高級腕時計のキャンペーンで「激安」「安い」というキーワードを、格安腕時計のキャンペーンで「高級」というキーワードを除外することで、高級腕時計を求めているユーザーに格安腕時計の広告が表示されたり、格安腕時計を求めているユーザーに高級腕時計の広告が表示されないようにし、ユーザーニーズにマッチした広告を出し分けすることができるのです。
定期的な見直し
定期的な除外キーワードの見直しも必要です。
理由の一つは、広告戦略の変化によって除外が必要なキーワードが変わることがあるからです。
たとえば、CPA重視の戦略からCV数優先になった場合、CPAが高い除外キーワードの除外を解除することがあります。
CPAが高くても、CVが獲得できるキーワードには広告を配信することで、CV数を確保するのです。
また、除外キーワードの設定ミスがないかの確認も大切です。
過去に私が見たアカウントでは、指名キーワードが誤って除外されており、自社名を含むキーワードで広告が表示されなくなっていたものもありました。
これは極端な例ですが、誤設定した除外キーワードが原因で機会損失につながっていたことは多々みかけます。
とくに、新しくアカウントを引き継いだときには、前任者がどのような方針で除外キーワードをしていたか、誤設定はないか、一通り確認しておきましょう。
まとめ
除外キーワードは、リスティング広告において無駄なクリック費用を削減し、コンバージョン率と品質スコアを向上させる重要な施策です。
除外すべきキーワードの判断は、CPC・CPAなどのコスト指標、CVの発生状況、自社サービスとの関連性の3つの基準で行いましょう。
特に、CPAが目標値を大幅に上回るキーワードや、CVが全く発生しないキーワード、自社商品と関連性の薄いキーワードは積極的に除外することが重要です。
ただし、過度な除外は機会損失につながるため、適切なバランスを保つ必要があります。
適度な除外によるコスト削減とCV数のバランス確保や、ブランド名除外による広告の出し分け、定期的な見直しを行うことで、広告費を効率的に活用し、ROIを最大化できます。
継続的な最適化により、真に価値のあるキーワードに予算を集中させましょう。