EC業者必見!Googleディスプレイ広告の精度を上げる動的リマーケティングとは

ECサイト事業者にとって、一度サイトに訪れて離脱した検討ユーザーだけに広告を表示させて意欲を再喚起させて、最終的な購入に繋げることは重要です。多くの事業者では、Google広告の集客で通常のリマーケティングを配信していますが、応用編で「動的リマーケティング」を検討する場合もあるでしょう。

動的リマーケティングを活用することで、ECサイトで例えばサイト内の「商品A」の商品ページを閲覧したけど購入に至らなかったユーザーに対し、その商品か類似商品の画像と訴求文が表示されている広告をタイミング良く同じユーザーへ見せることができます。

カート放棄後のフォロー、アップセル、クロスセルに繋げて、ECサイトのコンバージョン率と収益性の向上に直結させられる効果的な手法ですが、設定が分からずに実行まで行き着いていないケースが多いのが実状です。

そこで今回の記事では、Google広告の動的リマーケティングがどのように機能するのか、そしてそれがEC事業者のビジネスにどのようなメリットをもたらすのかを見ていきます。

EC事業者の方にとっては必見の内容で、ターゲットとなるユーザーの行動を理解しどのように自社の商品をそれぞれのユーザーに合わせて最適な広告を表示させたら良いか考えるきっかけになります。

動的リマーケティングのしくみ

上述のとおり、動的リマーケティングは、WEB(EC)サイトの行動データを活用してパーソナライズされた広告を生成し、ターゲットユーザーに再表示することです。
WEBサイトに設置されたタグによって閲覧ユーザーの閲覧したページの情報を記録して、このデータが広告主のGoogle広告アカウントへ送信されます。

閲覧ユーザーがサイトで特定の商品Aを見たり、カートに商品を追加したりすると、これらの情報がCookieに保存されます。
そして、後にこのユーザーがGoogleの広告ネットワークに属する他のサイトを訪れると、保存されたCookieの情報を基に、過去の行動や興味に関連する商品やサービスの広告が表示されます。

動的リマーケティングに使う商品は、リスト化した一覧情報をGoogle広告のアカウント内に登録して、配信キャンペーンに紐づけることでそれぞれの商品画像や訴求文の出し分けができます。

そして、配信中は広告の内容をリアルタイムで更新し、ユーザーが最後に関心を示した商品を反映させることができます。
そのため、マーケティングの戦略実行の精度があがりコンバージョンによる売り上げUPの可能性を大いに秘めています。

実際に、導入直後にユーザーの購入率が上がってROAS、収益の改善に至った事例も多く存在します。

動的リマーケティングに向いている業種、商材

動的リマーケティングはあらゆる業種に向いていますが、特に次のような特徴の商材が向いています。

・販売したい商品数が多い
・ユーザーが購買に至るまでの検討時間が長い


Eコマース業界では顧客が様々な商品を比較検討するため、一度サイトを離脱してもその後に関連商品を提示することで購買意欲を強くさせることができます。
また、旅行業界では、航空券やホテルの予約において顧客が検討段階で多くのオプションを見るため、後にターゲット広告を表示することで、決定を後押しできます。

不動産自動車など高価格帯の商品を扱う業界もまた、顧客が長期にわたって情報収集し決断をくだすため、動的リマーケティングが有効です。
ファッション家電製品など、トレンドに敏感で新商品が頻繁に更新される市場でも、最新の関連商品を顧客に提示することで、関心を持続させることができます。

サービス提供業や特にサブスクリプションを採用している業種では、顧客がサービスを試用後に離れることが多いため、動的リマーケティングを通じて特定の機能や新プランをアピールすることで、再加入を促すことができます。
教育トレーニングサービスも同様に、コースやセミナーの広告をターゲットに合わせて表示することで、継続的な関与を促進します。

これらの業種や商材は、顧客の購入プロセスが複雑であったり、検討期間が長かったりするため、動的リマーケティングによるカスタマイズされた広告が特に効果を発揮します。

Google広告の設定概要

Google広告で動的リマーケティングを行う手順は次のとおりです。
(本章では概要の一覧を記載し、①②③については詳細を後述します)

Google広告アカウントの設定

動的リマーケティングを行うには、まずGoogle広告アカウントを開設します。
アカウントがない場合は新しく作成します。

①リマーケティング用のタグ発行とウェブサイトへの設置

Google広告アカウントからリマーケティングタグを生成し、ウェブサイトの全ページにこのタグを設置します(詳細は後述)。
設定した直後から訪問ユーザーのページ閲覧行動を追跡し、データを収集できるようになります。

②商品フィードの作成、アップロード

商品やサービスのリストを含む商品フィードを作成し、Google Merchant Centerにアップロードします。
このフィードデータは広告に表示するための商品情報リストです。

③動的リマーケティングキャンペーンの作成

Google広告内で新しいキャンペーンを作成し、動的リマーケティングの設定を施します。用意した商品フィード(後述)とキャンペーンに関連付けることで、ユーザーごとに変わる動的なリマーケティングの設定ができます。

広告のカスタマイズ

広告テンプレートを選択し、商品フィードから引き出される情報を元に、広告のデザインとメッセージをカスタマイズします。

入札戦略の決定

コンバージョンを最大化するための入札戦略を設定します。
「手動で入札戦略を設定」や「コンバージョンの最大化」など目的に応じた戦略を選択します。

オーディエンスの作成

訪問者の行動に基づいてリマーケティングリストを作成します。
例えば、特定の商品ページを訪れたユーザーやカートに商品を追加したが購入を完了しなかったユーザーなど、様々な分類でリストを分けることができます。

キャンペーンの進捗確認と最適化

キャンペーンが開始されたら、パフォーマンスを定期的に確認し、必要に応じて入札額の調整やオーディエンスの見直しなどを行います。

これらのステップを繰り返すことで、Google広告を使用した動的リマーケティングキャンペーンを効果的に準備し、実行することができます。

①リマーケティングの発行、ウェブサイトへの設置

動的リマーケティングを始めるためには、まずGoogle広告のリマーケティングタグをウェブサイトに設置する必要があります。
以下はその手順です。

リマーケティングタグの生成
ツールから「共有ライブラリ」を選択し、「オーディエンスマネージャ」に進みます。
そして、「オーディエンスソース」からGoogle広告タグを選び、「タグの詳細」をクリックして「タグを設定」を選択します。

WEBサイトにタグを設置
タグを生成したら、そのコードをコピーして、ウェブサイトの全ページのタグの直前またはタグの直後に貼り付けます。これにより、訪問者がウェブサイトのどのページを訪れても、その情報がGoogle広告に送信されます。

カスタムパラメータの設定
より詳細なリマーケティングリストを作成するためには、商品ID、価格、ページタイプなどのカスタムパラメータをタグに追加することが推奨されます。

例えば、アパレル商品であれば種類ごとに分けたり、季節ごとの商品や単価の大小でグループを分けて、後で分別しやすいようにします。
実装部分の一例は下記です。
このような実装によって、広告を配信する際にも訪問者の行動に基づいてより精密なターゲティングが可能になります。

タグの動作チェック
タグが正しく設置されているかを確認するために、Googleタグアシスタントなどのツールを使用してテストします。これにより、タグが正しく動作しているかを確認し、問題があれば修正します。

リマーケティングリストの作成
タグが設置されたら、Google広告アカウント内でリマーケティングリストを作成します。訪問者の行動に基づいてリストをセグメント化し、ターゲットとするオーディエンスを定義します。

キャンペーンの開始
リマーケティングリストとタグが準備できたら、動的リマーケティング用のキャンペーンを作成し、適切な入札戦略と予算を設定してキャンペーンを開始します。

これらのステップを完了することで、動的リマーケティングを利用した広告の配信を始めることができます。適切な設定と継続的な最適化を通じて、ウェブサイトの訪問者を再び惹きつけ、コンバージョンを促進できます。

②商品フィードの用意

動的リマーケティングキャンペーンで使用する商品フィードをアップロードする先は、Google広告の「ツール」→「ビジネスデータ」で出てくる画面の一覧です。

※小売業の場合はGoogle Merchant Center に商品フィードをアップロードする場合もあります。詳細はMerchantの始め方と設定手順でご覧いただけます。

フィードデータの手順は次のとおりです。

商品フィードの入力
商品のID、名称、価格、画像URL、商品ページURLなどの情報を、スプレッドシート、CSV、TSV、XMLファイルなどの形式で準備します。
Googleが要求する属性と形式に従って正確に情報を入力します。

実際に「教育」のテンプレートで入力して、アップロードしたデータは下記のようになります。
フィードの登録と処理
フィードをアップロードした後、Googleはフィードを処理し、エラーがないかをチェックします。エラーがある場合は、指示に従って修正し、再アップロードします。

フィードの最適化
商品フィードがGoogleによって承認されたら、フィードの品質を向上させるために最適化を行います。これには、タイトルや説明の改善、高品質な画像の使用、プロモーション情報の追加などが含まれます。

商品フィードをアップロードし、最適化することで、動的リマーケティングキャンペーンの効果を最大限に引き出すことができます。フィードの情報は広告に直接反映されるため、常に最新かつ正確なデータを保つことが重要です。

③動的リマーケティングキャンペーンの作成

Google広告管理画面で動的リマーケティングキャンペーンの配信設定を行うには、次の手順を実行します。

キャンペーンの作成
Google広告の画面で、「キャンペーン」タブから「+」ボタンをクリックして新しいキャンペーンを作成します。

キャンペーン目標、タイプの選択
表示される「キャンペーン目標」の項目の中から、「販売」「リード獲得」など目的に沿う項目を選択します。
「目的なし」のキャンペーンを選択するのでも問題ありません。

また「キャンペーンタイプ」では「ディスプレイ」を選ぶのは、通常のリマーケティング(静的)と同じです。

キャンペーン設定の調整
ここで、「設定」→「動的広告」を選んで、先ほど「データフィード」で登録したデータを選択して紐づけます。
これで登録したデータが、タグの実装内容と連動して配信時に出し分けされるようになります。
キャンペーン名の設定、地域や言語のターゲティング、入札戦略の選択、予算の設定など、キャンペーンの基本的な設定を行います。

オーディエンスの選択
「オーディエンス」から「閲覧」を選択し、事前に作成したリマーケティングリストを選びます。

広告グループの作成
ターゲットとするオーディエンスに合わせて広告グループを作成し、適切な入札額を設定します。

広告の作成
動的広告テンプレートを選択し、商品フィードから引き出される情報をもとに広告をカスタマイズします。広告の見出し、説明文、画像などを設定し、フィードと連携させます。
昨今Google広告で主流のレスポンシブディスプレイ広告はアセットベースの広告で、利用可能な広告スペースに合わせて広告のサイズ、表示形式、フォーマットが自動的に調整されます。

配信オプションの最適化
デバイス、頻度制限、広告配信方法など、キャンペーンの配信オプションを最適化します。

キャンペーンのレビューと開始
すべての設定を確認し、問題がなければキャンペーンを開始します。

キャンペーンが開始されたら、パフォーマンスを定期的にチェックし、必要に応じてターゲティング、入札戦略、広告の内容などを調整していきます。これにより、キャンペーンの効果を最大化し、リマーケティングの成果を高めることができます。

動的リマーケティングとの実績例

動的リマーケティングで実際に成果が改善した事例をいくつか紹介します。

①家具販売業者
ある家具販売業者では、以前はWEBサイトを訪れたが購入に至らなかったのですが、動的リマーケティングでこれらのユーザーへ閲覧した商品や関連商品の広告を再表示させました。
その結果CPAが-40%に改善して、離脱したユーザーを再びWEBサイトに呼び戻し購入率を高める効果があったことは明確でした。
 CTRCPCCPA
設定前2.0%¥50¥1,000
設定後2.5%¥40¥600

②旅行業界
ある旅行業界の広告主は、動的リマーケティングを利用して、サイト訪問者が興味を示した目的地やホテルのカスタマイズされた広告を配信しました。
この戦略により、訪問者は自分のニーズに合った旅行プランをリマインドされ、その結果CPAが30%削減されました。
個別化された広告アプローチが、興味のあるオファーに基づく顧客の再エンゲージメントを促進し、コンバージョン率を向上させた事例です。
 CTRCPCCPA
設定前4.5%¥200¥800
設定後5.0%¥140¥560

まとめ

Google広告の動的リマーケティングは、訪問者の行動に基づいてパーソナライズされた広告を提供することで、ウェブサイトへの再訪とコンバージョンの増加を促します。

タグの設置から商品フィードの作成、ターゲットオーディエンスの選定、そしてキャンペーンの配信設定に至るまで、一連のプロセスを通じて、広告主は自社の商品やサービスを以前に関心を示したユーザーに効果的にアピールすることができます。

この戦略は、特にEコマース、旅行、不動産、高価格商品などの分野でその力を発揮し、適切な実装と継続的な最適化を行うことで、ROIの向上を実現します。

動的リマーケティングは、デジタルマーケティングの効果を最大限に引き出すための重要なメニューなので、EC事業者を始め商品が多数あってユーザーの検討期間が長い場合は是非検討してみましょう。

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