近年はインターネットの普及により、治療したい症状を担当しているクリニックを知らない段階からWEBサイトやSNSなどのオンライン情報に頼ることが多くなっています。
また、各クリニックはWEBサイトや運用型広告、コンテンツの作り込みやYouTubeでの発信など様々な発信や集客の取り組みを始めています。それだけ顧客を見つけてくることが大変で変わってきているということになります。
そこで本記事では、多くのクリニックを支援してきたSPENDAの実体験もふまえながら、クリニック向けのWEB集客ポイントと広告運用のコツに焦点を当てて、具体的な方法を順番にご紹介します。
本記事を読めば、実際にクリニックのWEBサイト周りの集客で何を行えば良いか分かり、より効果的な集客のヒントが得られます。
ターゲットと集客戦略を明確にする
クリニックの診療内容によって、WEB集客におけるターゲットユーザーとその集客戦略は変わってきます。提供する医療サービスや治療に最も関心を持つ人たちを思い浮かべて、WEB上でどのような行動を取るのかをまず考えてマーケティング戦略を考えてみましょう。
例えば、小児科クリニックであれば家族や妊婦の方を、美容クリニックであれば美容に興味がある男女をターゲットに設定する、自費診療と保険診療でアプローチが異なる点などです。これらのターゲット像を明確にすればするほど良く、患者の年齢、性別、住んでいる場所、興味関心などの情報を分析することが重要です。
これによって、それらの特定のユーザー層に合わせたカスタマイズされた集客や広告戦略を効果的に行えるようになり、広告のリーチと影響力を高めることができます。
また最近はオンライン診療を導入するクリニックも増えているので、他院の状況を常にリサーチしながら時流に合った方法を集客やサイト内だけでなくビジネス戦略にも取り込んでいかなければなりません。
WEBサイトを作り込む
WEBサイトを用意していないクリニックは少ないですが、WEBサイトも自作や1,2ページではなく競争の激化に伴いしっかり作り込む必要が出てきています。WEBサイトを閲覧しにくるユーザーに合わせて最適化させるためは、まず情報が豊富であることが求められます。
最初に目に入るファーストビュー(FV)を直観的に理解しやすいデザインにして、それぞれ目的やニーズが異なる患者が求める情報へ簡単にアクセスできるようにする必要があります。

他にも、SEO(検索エンジン最適化)として適切なキーワードを定めてそれに合わせたコンテンツを作成したり、検索エンジンでの見つけやすくされるための対策も必要です。
また、ユーザーがスマホで移動中に見ることを想定して、スマホ画面でも見やすいレスポンシブデザインを実装することも必須です。
いきなりこれらを全て考えて実行するのは難しいですが、基本を押さえて徐々に作り上げていくことで、クリニックのWEBサイトは患者にとって魅力的で重要な集客源となります。
コンテンツマーケティングを考える
WEBサイトの中の情報源であるコンテンツを使った集客(コンテンツマーケティング)を考えることも、集客のために重要です。自院の患者に取って役立つ情報を提供し、まだ知らないユーザーが内容を知ってページを見て申し込むまでに、信頼関係を築くステップは重要です。
そのためには、見込み客である患者の興味や悩みに対応した、質の高いコンテンツを定期的に発信することです。
普段のカウンセリングや実際の施術などから「どんな悩みを持ってここに来たか」「一番興味のあることは何か」をつかんで、その内容をWEBサイト内のコンテンツに反映するように心がけましょう。
例えば、健康情報、予防法、治療法に関するブログ記事や、FAQ、患者の体験談、専門医からのアドバイスなどがあります。
これらのコンテンツをHTMLで1つのWEBサイト内のページとして公開して、SEO対策を施したりSNSで紹介したりしてこれらのコンテンツを外部に広く共有します。
最初は中々見てもらえない場合もありますが、これを続けていくことでより広範囲なユーザーへリーチできて、クリニックの認知度向上とブランド構築が期待できます。少しずつ認知を広げるためにもコンテンツマーケティングは継続的な努力が必要ですが、長期的にユーザーに内容を知ってもらい、そこから申込や予約に繋げるための重要です。
また、ページの上部から下に向けてどのように文章や画像を並べて、どのように「申込」や「予約」「診断」などに繋げていくか流れも重要になってきます。
WEB集客の手段
ターゲットを明確にして、WEBサイトを作り込んで、コンテンツマーケティングを考えたら、いよいよ集客をどうするか考えるステップになります。WEBサイトへのサクセスを増やして、いかに内容を知ってもらいCVに繋げるか考えていきます。WEB集客の方法について、いくつか紹介します。
WEB広告の配信
まずは、Google広告、Meta広告などのWEB運用型広告を考える場合が多いでしょう。すぐに流入を増やすことができて、最近はターゲティングで狙ったユーザーへ広告を配信しやすくなっているので、お金をかけるなら最初に取り組むメニューです。
広告戦略を設計する時は、まず最終的な目標(申込、予約、診察相談など)を設定し、それに基づいて広告メニューの内容、スケジュールをある程度決めます。
その他に設定する際に考えるべき項目もいくつかあるので、紹介します。
アカウント構成
全国的に展開しているクリニックでなければ、都道府県や市区町村を絞り込んで配信することが通常です。
この時に、アカウント内の各キャンペーンの設定は地域限定配信に合わせた内容とそうでない内容に分ける必要があります。
例えば、キャンペーンを2種類に分けて設定します。
キャンペーン①:治療内容のキーワード(「脱毛治療 クリニック」など)で、地域設定はクリニックの住所から「半径3km」
キャンペーン②:地域名のキーワード(「脱毛治療 渋谷」など)で、地域設定は都道府県単位
地域名が含まれないキーワードは割と狭めに設定することが多いですが、地域名が含まれるのであれば少し広めに設定したほうが良いです。なぜなら「地域名が判別できないユーザー」が多く存在して、これらのユーザーへの機会損失になったり全く配信がなされない場合があるからです。
入札戦略
Google広告、Meta広告は初期の頃は「上限クリニック単価を広告グループ別に設定」など手動入札が多かったものの、最近は「自動入札設定で、コンバージョン数を最大化する、クリック数を最大化する」など目的に応じたキャンペーン設定をすることが増えています。
費用対効果を意識してこれらの設定を行うことが重要ですが、CVの内容が最終的な成約かその手前の無料相談やカウンセリングかによっても変わってきます。
理想の費用対効果と実際に配信してみて、結果として出た数値を比較して徐々に改善を行いながら目標値に近づけていけるように、適切に自動入札を設定する必要があります。
キーワード、広告文
クリニックによっては多くの地域に展開している院もあることでしょう。
その時にキ―ワードを1個ずつ登録するのは大変なので、キーワード自動挿入機能を使うことで効率的に管理できます。
後から新たな場所に開業して拡大していくクリニックに取っては、このような機能を使って取りこぼしのないようにすることは重要です。
また、キーワードだけでなく広告文でも地域に合わせて広告アセットに表示されるように、キーワード自動挿入広告文や広告カスタマイザなどを設定することが必要です。
詳細は広告カスタマイザーを利用した品質スコア改善方法で説明しています。
■ランディングページ
ユーザーの目的によって検索クエリが変わり、内容によってはWEBサイト内の流入ページを1つではなく複数に分ける必要があります。特に最初に大まかな設定だけして配信を行ってみると予想と違っていたのは、良くあることです。
配信してから結果を見て調整することも重要であり、検索クエリごとのユーザーの目的を汲み取って流入先(ランディングページ)を出し分ける設定が必要となります。
このような点に注意して、結果の確認と分析を行いデータに基づいて最適化を繰り返し行っていくことが重要です。
Instagram広告の配信
企業にとってInstagramアカウントを用意して、日々の投稿や場合によっては広告配信を行うことも重要になってきています。 クリニックも同じでInstagramアカウントの運用を効果的に行って集客につなげるには、ビジュアルに重点をおいた投稿作成が重要です。画像
投稿する画像が検索や他の媒体と比べて極めて重要です。高品質の画像や動画を使用して、見込み客の関心を惹くストーリーを展開していきましょう。
また、定期的に投稿することでフォロワーとの関係を維持し、次のアクションの可能性を高めていきます。
ハッシュタグ
ハッシュタグを効果的に使うことも重要です。特定のトピックやキャンペーンに関連する広範な視聴者にリーチすることが可能です。
さらに、インスタグラムのストーリーズやライブ機能を利用することでリアルタイムでのコミュニケーションを図り、フォロワーとの即時的なつながりを強化することができます。
フィード、リールの配信目的に応じた配信
Instagramのアカウントを運用する担当者にとって、フィードとストーリーズとリールをどう出し分けるかは重要な課題です。ストーリーズ、フィードは既にフォロワーになっているユーザー向けに商品をさらに深く知ってもらうための配信が主目的になるのに対し、リールは動画でまだ知らないユーザーへ最初の認知目的で知ってもらうための配信が主目的になるなど違いを知って配信計画を立てることが重要です。
サイズ、配信面を考慮した画像とキャッチコピーの配置
上記のリール、フィード面に広告を配信する際に、サイズや出方がそれぞれ異なるため、画像やキャッチコピーの配置や作り方にも工夫が必要です。間違って文字が途切れたり望まない表示になってしまうこともあるので、経験者に相談するなど入念に準備して用意するようにしましょう。これらの戦略を組み合わせることで、ブランドの認知度を高めて集客強化に繋げられます。
GA4分析による効果測定とPDCA
広告やSNSなどサイトの外部だけでなく、サイト内を分析ツールを使って効果測定して改善に活かすことも重要です。WEBサイト内の解析で良く用いられるのがGoogle Analytics4(GA4)で、流入やページ別の閲覧状況を見ないで改善できることは稀なのでまずGA4を設定して定期的に数値をチェックする必要があります。
サイトの訪問者数、ページビュー、ユーザーの滞在時間、コンバージョン率などの重要指標(KPI)です。
これによって、どの広告やマーケティング施策が効果的だったか、どの領域に改善の余地があるかを明確になります。
例えば、特定のランディングページの改善、効果の低い広告キャンペーンの修正、ターゲットオーディエンスの見直しなどです。
これらのデータを基に継続的に施策を最適化することで、より多くの見込み客にクリニックを認知してもらい申込数の増加に繋がるでしょう。
CPM分析でロイヤル顧客を把握する
一度クリニックを利用して終わりではなく、継続的に診察に来てもらいたいのはどのクリニックでも共通することでしょう。顧客リストがたまってきたら、そのリストを元に分析を行って頻繁に利用する顧客や商品を大量に購入している顧客を見つけてそれに合わせた対策を行うことも重要です。
一例として、やずやが開発したCPM分析手法があります。

顧客分類の分析を通じて、顧客の維持と育成につながる具体的なアプローチを考えることができます。
まとめ
このように当記事で説明した、クリニックのWEB集客と広告運用のコツを実践することで、効果的にターゲット客にリーチして、競争の激しいクリニック市場で新たな見込み客を集客できます。ターゲット像をしっかり考えてWEBサイトを立ち上げて、クォリティの高いコンテンツを入れてSNSで積極的に発信すれば、まず一定の売上が発生することでしょう。
そのうえでデータに基づいて広告配信を行えば、さらに集客を強化できてクリニックのブランド知名度とともに予約や申し込みの獲得数も伸びていくことでしょう。
できることを1つ1つこなして続けていけば、それぞれが連動されて費用対効果も徐々に良くなって、継続的なビジネス成長に繋がります。
是非今回の記事を参考にクリニックのWEBサイトへの集客強化に活かしていきましょう。