「SNS運用に取り組んでいるけど、なかなか商談やリード獲得に結びつかない」
特に首都圏以外で地元に根付いて事業を営んでいる企業に、このような課題が多いです。
特に無形商材を扱っている企業は、全国展開しないと存続できないケースも多いので申告です。
X(旧Twitter)やInstagramでは、投稿を流してもそれがすぐに埋もれてしまい、自社の良さやサービスの価値を伝える以前に自社に興味を持ってくれる人が集まらない状況に陥ってしまいます。
この課題に対して一律で解決策が決まっている訳ではないですが、いくつか共通するものはあります。その中の1つとして「検索に強い長尺動画を発信する」、すなわちYouTubeチャンネルでの発信があります。

BtoB特有の「決裁までのプロセスが長い」「ターゲットユーザーの信頼を得るのが大変」という課題に対し、YouTube動画を見てもらうことは1つのソリューションとなります。
弊社でも登録者5000人を超える YouTubeチャンネルを運用しています。
事業のサービス内容の中身が分かる動画を見せることで、文字だけでは伝えるのが難しかった特徴や魅力を知ってもらえます。
そこで本記事では、主に地方BtoB事業に向けて動画マーケティングの詳細と、問合せやトライアル、資料請求への申込など成果に繋げるための考え方を解説します。
動画マーケティングが成果が伸びやすいケース
ほとんどのBtoB企業がYouTubeを初めてからすぐに望むような結果を出せることはありません。以下の4つのポイントが、動画マーケティングで分かれ目になる場合が多いです。
1. 課題が明確かがどうか
扱っている商材やサービスが、提供者自身も課題を明確に言語化できていない領域(例:DX推進、業務フローの抜本的改善、複雑なデータ基盤構築など)である場合、動画で分かりやすく解説する必要があります。課題の「症状」から「原因」、そして「解決策」までを視覚的に示すことで、視聴者に今まで気づいていなかったニーズに気付かせることができます。
2. 導入までの関係者(ステークホルダー)が多い
会社の規模が大きく決裁に関わる人物が多い場合、動画は強力な「営業資料」として機能します。現場担当者が見つけた動画を、そのまま管理職や役員への説明資料として共有や転送ができるため、検討プロセスを省いてスムーズに進めていく手助けとなります。
3. 検索起点で情報収集が行われている
企業担当者が課題に直面しいているときに、「Q&A(よくある質問)」「比較(サービスA vs B)」「事例(他社の成功例)」といったキーワードで検索する習慣がある業界であれば、YouTubeは最適です。検索結果に動画が表示されることで、コラム記事等の文字媒体よりも一歩先に、視覚で分かりやすい情報を提供できます。
4. 地域やニッチ領域で「専門家」の地位を確立したい
大都市圏の大企業と真正面から戦うのではなく、特定の地域や非常にニッチな業界において「この分野なら、あの会社だ」という一番に想起されるポジションを取りたい地方BtoB企業にとって、動画は強力な武器となります。専門性の高いノウハウを継続的に発信することで、地域ナンバーワンの信頼を獲得できやすくなります。

商談を生み出すための有効な準備
YouTubeが有効だと判断できたら、次に考えるべきは「何を話すか」です。BtoB動画マーケティングで成果を出すためには、闇雲に動画を作るのではなく、戦略的な話しの流れを決めて型を作ることが重要です。まずは「3つのフォーマット×各3本=合計9本」の量産設計から始めることをお勧めします。
型1:事例解説(社会的証明で「安心」を作る)
BtoBの意思決定において、「他社はどうしているのか」という視点は常に重要です。具体的な会社名は伏せて(すぐに特定される内容もNG)、実際の顧客事例を解説した動画は、共感を呼びやすく視聴者に安心感を与えてくれます。
・目的: 類似の課題を持つ企業に対し、「自社でも成功できそうだ」という確信を持たせ、検討の初期段階での不安を払拭します。
型2:課題解決講座(専門性の先出しで「信頼」を獲得)
視聴者が抱える具体的な「悩み」や「症状」を取り上げ、その原因と対処法を専門家の立場で解説するHow-toコンテンツです。このように信頼の先に与えることで、その後の問合せや受注に繋がりやすくなります。
・目的: 専門知識を惜しみなく提供することで視聴者との信頼関係を構築し、「この会社に相談したい」という動機を形成します。
型3:比較・意思決定ガイド(検討段階の「背中を押す」)
すでに複数の選択肢で迷っている、検討の最終段階に近い視聴者に対して、合理的な「選定軸」を提供するコンテンツです。自社製品を一方的に勧めるのではなく、客観的な比較情報を提供します。
・目的: 視聴者が自ら意思決定できるよう情報を整理し、比較検討のプロセスで優位に立ち、最終的な選択の背中を押します。
BtoB動画マーケティング実践プラン

成果を出せるポイントが分かればあとは実行に移すだけです。品質にこだわりすぎて更新が止まっては意味がないので、週1~2本のペースでまずは90日間(約3ヶ月)でPDCAを回す計画を立てます。
STEP1 (W1–W2):設計フェーズ(キーワードと台本準備)
最初の2週間は準備期間です。まず、顧客がどのようなキーワードで検索するかを徹底的に洗い出し、「検索意図A(情報収集層)」「検索意図B(比較検討層)」「検索意図C(導入決断層)」などに分類します。また、前述したポイントをふまえて撮影の詳細(台本、構成、カメラ、マイク、照明等)の状況を考えます。
その場で考えたり行き当たりばったりでは、視聴者から一貫性がないように見えて信頼や続けての視聴に繋がらなかったりします。
STEP2 (W3–W8):量産フェーズ(9本の収録・公開)
続く6週間は、実行フェーズです。設計した3フォーマット×各3本の合計9本を、集中的に収録・編集し、週1~2本のペースで公開していきます。この段階では、編集のクオリティよりも、演者が慣れていくことや計画通りにコンテンツを市場に投下し、データを収集することを優先します。
STEP3 (W9–W12):最適化フェーズ(データ分析と改善)
次の4週間は分析と改善のフェーズです。公開した9本の動画のうち、特に視聴維持率やクリック率が高い「トップ3」の動画を特定します。なぜその動画が評価されたのかを分析し、冒頭15秒の構成変更や、要点のテロップを強化するなどの編集改善を行います。同時に、動画からの遷移先であるランディングページ(LP)の最適化も行い、リード獲得率の向上を図ります。
動画の効果を最大化するSEO・導線の最小ルール
動画を公開するだけでは、リード獲得には繋がりません。視聴者を「次の行動」へ導くための、最低限のSEOと導線設計が必要です。
タイトルとサムネイルの最適化
視聴者はタイトルとサムネイルの2つで、その動画を視聴するかを瞬時に判断します。
・タイトル: 狙う「検索クエリ」を必ず含め、さらに「具体的な成果」や「数字」を盛り込みます。(例:「BtoB マーケティング 事例|地方製造業で商談率が1.8倍になった方法」)
・サムネイル: 視聴者が抱える「悩みワード」と、インパクトのある「数字」や「結果」をテキストで大きく配置します。サムネイルのクリック率(CTR)は、まずは4~6%を目標とします。
概要欄と動画内CTAの戦略
動画を視聴して興味を持ったユーザーを、逃さず自社のLPへ誘導します。
・概要欄: 動画の簡単な要約を冒頭に記し、その直後に最も重要なCTAリンク(例:資料請求LP、無料相談LP)を「1つだけ」に絞って配置します。リンクが多すぎると迷いが生じ、クリック率が低下します。
・動画内CTA:「詳細はお問合せ欄よりご連絡ください」など 行動喚起は3回行うことを推奨します。動画中盤(例:5分時点)、動画の最後(クロージング)、そしてYouTubeの「固定コメント」です。

計測すべき重要KPIとスクリプトの雛形
BtoB動画マーケティングは「やりっぱなし」では成果が出ません。データを計測し、改善を続ける必要があります。
動画からリード獲得までのKPIツリー
以下の数値を時系列で追い、どこにボトルネックがあるかを特定します。
- サムネイルCTR(クリック率): 4~6%(低ければタイトル・サムネを改善)
- LPクリック率(概要欄・CTA): 0.8~2.0%(動画内容とCTAの関連性を見直す)
- 資料請求CVR(LP側): 2~5%(LPの訴求内容やフォームを改善)
基本スクリプト雛形(5〜7分)
動画台本に迷った際は、例えば下記のように基本構成を見直します。
1. オープニング(約20秒): 視聴者の課題を明確にし(例:「こんなことで悩んでいませんか?」)、この動画を見ることで得られる価値(ベネフィット)を簡潔に提示する。
2. 本編①(課題の分解): 視聴者が抱える課題の根本的な原因や背景を深掘りし、共感を呼べるようにする。
3. 本編②(解決策3手+事例): 具体的な解決策を3つ程度に絞って提示し、可能であれば関連する事例を簡潔に紹介する。
4. クロージング(CTA): 動画の要点を簡潔にまとめ、次の行動(例:関連資料のダウンロード、無料相談、セミナー案内)を具体的に促す。
BtoB動画マーケティングでよくある3つの失敗と回避策
最後に、多くの企業が陥りがちな失敗パターンを共有します。これらを避けることが成功への近道となるので、いくつか失敗に繋がる可能性のあるポイントを紹介します。
失敗1:プロダクト説明過多な「買ってください動画」になる
最も多い失敗が、自社製品の機能説明や宣伝ばかりになることです。視聴者は「売り込まれる」ことを警戒しています。まずは「課題解決講座」などで専門性を先出しし、信頼関係を築くことを優先します。
失敗2:撮影・編集に凝りすぎて更新が止まる
テレビCMのような高品質な映像を目指す必要はありません。BtoBにおいて重要なのは、映像美よりも「情報の質」と「継続性」です。編集にこだわりすぎて更新が止まるくらいなら、まずは量産を優先し、データを見ながら改善する方が賢明です。
失敗3:CTA(行動喚起)が分散し、次の行動を逃す
概要欄に会社のウェブサイト、SNSアカウントのリンク、複数の資料ダウンロードなど、リンクを貼りすぎるケースです。選択肢が多すぎると、視聴者は結局何も行動しません。動画のテーマに合わせ、CTAは「最も獲得したいリード」への導線1つに絞り込みましょう。

まとめと次のアクション
地方BtoB企業がSNSで成果に伸び悩んでいる場合、YouTubeによるBtoB動画マーケティングは、強力な打開策となり得ます。決裁プロセスが長く信頼構築が重要なBtoBにおいて、動画は「理解・比較・証拠」を一度に提供できる最適なソリューションです。
重要なことは、動画マーケティング特有の伸ばし方や成果の出し方を理解して、目の前の運用に活かしていくことです。そのうえでにまずは90日間で9本以上のコンテンツを市場に投下してみることです。
その次に、顧客からよく聞かれる悩み、課題、質問をテーマにした「課題解決講座」のつもりで、台本作成に着手して実際の撮影環境のイメージを膨らませてそのとおりに実行していくことです。
このようにしていけば、取り掛かり始めてマイナスの結果が出ることはほぼないですし(プラスの方向へ伸び悩むことはありますが)、着実に続けることでサービスや商品を知って良いと思ってくれるファンが1人2人と増えていきます。しかも半永久的に残り続けるので、一度作ってしまえばそのまま残り続けて新たな視聴者を次々に呼び込んでくれるのです。
具体的な企画や台本作成にお困りであれば、弊社にご相談いただくことで状況に合わせた9本の企画案をレビューすることも可能です(お問合せフォームよりご連絡ください)。本記事が、貴社の動画マーケティング成功の一助となれば幸いです。

