こんにちは。SPENDAの伊藤 です。
日々の業務で欠かせないGoogleスプレッドシート。データ入力、集計、分析…。定型的な作業に追われ、「もっと効率化できないかな?」と感じていませんか?
そんなあなたの悩みを解決するかもしれないのが、「AI関数」です。
最近公式で発表されて、SNSでも「スプレッドシートのセルに =GPT(…) と入れるだけでChatGPTの回答が表示される!」という投稿が話題になり、注目を集めています。
そこで本記事では、長年Google Apps Script(GAS)を活用してきた私が、以下の3つの手法を比較します。
2.OpenAIのGPT関数(カスタム関数)
3.Google Gemini AI関数
それぞれの導入方法やできること、そして「ここがちょっと…」という課題まで、実際に試した内容に基づく詳細を紹介します。
「プログラミングは苦手だけど、AIを使ったスプレッドシート作業に興味がある」という方にとって参考になります。

スプレッドシートAI関数のメリット
これまでのスプレッドシートの自動化や作業効率化では、マクロやGASを使うことが多かったでしょう。GASを使えば、複雑な処理や外部サービスとの連携も可能になり、例えば膨大なデータの中から特定のNGワードを自動でチェックする、といった作業も効率化できました。これによりプログラミング未経験者でも一度成功したコードが手元にあれば、それを元に調整して他の用途にも使えるようになり、グッと身近なものとなりました。

ただ、GASはあくまで「スクリプト」で、コードを書いて実行する手間がかかるものです。
そこで少し前から登場しているのが「AI関数」です。
「 =SUM()」 や 「=VLOOKUP()」 のように、セルに数式を入力するだけでAIのプロンプトを入力したのと同じ回答を得られるのです。
ChatGPTのプロンプトの場合は、最初だけGASでAI関数(今回は「=GAS()」の数式とします)を動かす設定ができれば、その後もずっと使うことができます。
これを元に例えば同列で下にコピーしてAIによる回答を一気に50個、100個と、それぞれの内容に合わせて回答を返すことが一瞬でできるようになります。
3つのAI活用手法を徹底比較!
手法1:従来のGASによる自動化
Google Apps Script(GAS)を使って、スプレッドシートの操作や外部サービス連携を自動化することができます。
特定の条件のデータの抽出・加工 定期的なレポート作成したり外部APIとの連携でWebサイトから情報を取得したりできます。
活用例としては、例えばNGワードチェックを自動化したりGASスクリプトを実行することで、リスト内のNGワードの有無を瞬時に判定してヒューマンエラーを防げます。

この方法では数式よりも柔軟性が高く、複雑な処理やワークフロー全体を自動化できます。また一度構築すれば安定して運用しやすいです。
ただ、デメリットとしてGASの知識が必要でChatGPTなどにコード生成を依頼することも可能で、 開発・デバッグに時間がかかる場合もあります。
手法2:OpenAI関数(Chat GPTで使えるカスタム関数)
GASを使うのですが、OpenAI APIに利用してカスタム関数(ここでは「GPT」)を設定し、セルに数式として入力することでChatGPTの機能を利用する方法があります。
手順としては、スプレッドシートのメニューから[拡張機能]→[Apps Script]を選択します。
そしてスクリプトエディタに、OpenAI APIを呼び出すGASコードを貼り付けます。
(実際に試してみたい方に向けて、ページ下部のリンクよりテンプレートが受取方法を記載しました)。
このときにOpenAIで発行したSecret API Key(アカウントごとに異なる個別コード)をコード内に設定する必要があります。
次にスクリプトを保存し、実行して必要な権限を承認します。
これで =GPT(テキスト, 指示) のようなカスタム関数が使えるようになります。
例えばA列に米国株の銘柄コードを入力して、B列に「 =GPT(A2, “会社概要を400字以内で”) 」などを入力します。
すると、A2セルのティッカーコードに対応する企業の概要が表示されます。

この方法ではセルに数式を入れるだけなので、すぐに反映されてGASのようなコードの知識も不要です(初期設定以外)。
また、セル単位で柔軟にAIの指示を変えられるます。
強いて言えばOpenAI APIの利用料が発生して利用量に応じて課金されますが、数万個のセルに反映とかしない限りは少額で済みます(とはいってもAPIキーの管理に注意が必要ですが)。
関数名に「AI」は使えない(Googleのデフォルト指定があるため)ですが、「GAS」か他の文字列であればGASで設定して使えます。
手法3:Google Gemini AI関数(公式機能)
Googleが提供するスプレッドシートの公式AI関数(例: =GEMINI())で、GoogleのAIモデル(Geminiなど)を利用できます。 これは2025年6月現在、Workspace Labs参加者に限定されており、多くのユーザーは登録申請の段階でGoogleからの連絡待ちの方が多いはずです。
APIキーを取得してGASに組み込んでも 「#ERROR! 」になり、現時点では使えないと思っておくのが良いです。
Googleのデフォルト機能として、スプレッドシートや他のGoogleサービスとの連携がスムーズになることが期待されるので、来年以降が楽しみです。この詳細をYouTubeチャンネルでも発信しているので、そこでより詳細を見ることができます。

AI関数の活用例

その他に、上記のGAS関数を使った結果の感触をまとめます(主観です)。
①英語プロンプト: 上述の米NASDAQ上場企業50社の概要の取得で試しました、ほぼ完璧な精度でした。短い定型的な情報収集やリサーチ業務の自動化には有効だと言えます。
②簡易な日本語プロンプト: 紅白歌合戦の曲データからの歌詞要約では、概ね高精度でしたが、アーティスト名や曲名の表記揺れが見られたようです。AIの生成結果は完璧ではないため、最終的なアウトプットには目視での確認・修正が不可欠です。
③複雑な日本語プロンプト: 始末書生成のような高度なプロンプトでは、敬語や語調の調整など、後編集が必須となります。また、複雑な指示ほどAIが処理する情報量(トークン)が増え、API利用料が高くなるリスクも指摘されています。
このようにAI関数は「簡単なコード等の定型処理」や「情報収集の一次処理」には非常に強力なツールですが、「複雑な文章生成」や「最終成果物の作成」には向かないことがわかりました。
| 用途 | フォーミュラ例 | 生成イメージ |
| お礼メール | =WRITE(“メール件名なし”, “Hi”, B2, “様。ご購入ありがとうございます。”) | 宛名 B2 を差し込みつつ自然な文面を出力 |
| 商品説明 | =WRITE(“30字でフックを入れて説明:”, A2, “主な特徴は”, B2) | SEO 用キャッチ+詳細を 1 セルで生成 |
| SNS投稿 | =WRITE(“Instagram 向けに絵文字多めで 100 字以内:”, C2) | ハッシュタグも自動付与 |
| 議事録要約 | =WRITE(“次の議事録を 3 行で要約:”, D2) | 長文メモ→箇条書き |
まとめ:スプレッドシート×AI関数で生産性UP
「AI関数、ちょっと難しそう…」と感じた方もいるかもしれません。でも、まずは小さく試してみるのがおすすめです。 OpenAI APIキーの取得とGASの設定が必要ですが、一度設定してしまえば、あとはスプレッドシートのセルに =GPT(…) と入力するだけです。 例えば、 =GPT(A1, “この文章を30字以内で要約して”) =GPT(B1, “この英単語の意味を日本語で教えて”) =GPT(C1, “この商品名からカテゴリを推測して”) といった簡単な指示から試してみてはいかがでしょうか。 AIがセルの中で直接応答してくれる様子を見れば、きっとその便利さと可能性を実感できるはずです。
GoogleスプレッドシートにおけるAI関数の登場は、仕事の質を大きく変える可能性を秘めています。今までのGASや数式は、色々な作業の自動化を促進していくでしょう。
どの手法を選んだとしても、「同じ処理を何十回、何百回と繰り返す」ようなルーチンワークを大幅に削減できるという共通のメリットがあります。AIの生成結果に多少の調整が必要だとしても、「ゼロから自分で作成する時間」と比べればその効果は日に日に実感できるようになるでしょう。
OpenAI のGPT関数はセル単位での手軽なAI活用を可能にし、即効性があります。 Google Gemini AI関数は現時点では限定的ですが、Google Work Spaceを使っている多くの方は来年以降に期待が持てます。
今の業務内容や目的に合わせて両方の可能性を意識しながら目の前の業務を進めて、今後もアップデート内容を見逃さないようにしましょう。
今後のルーチンワーク削減による効率化効果は絶大なのでまずOpenAI GPT関数で試してみて、AIがスプレッドシートにもたらす生産性の飛躍をぜひ体感してみることをお勧めします。
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