Google,Yahooなどのリスティング広告で設定する広告カスタマイザは、広告のパーソナライズと品質スコア向上を実現する強力なツールです。
この記事では、キーワードごとに広告カスタマイザを設定することにより品質スコアをあげる方法と、そのための設定方法を紹介します。
なお、Yahoo!広告にも、同様の機能としてアドカスタマイザがあります。当記事ではGoogle広告の広告カスタマイザに焦点を当てて紹介しますが、同じ手法がアドカスタマイザでも実現可能です。
広告カスタマイザとは
広告カスタマイザとは、データフィードやキーワードごとに設定した文字列を広告文に挿入することで、その時々に応じた広告文の出し分けをする機能です。
キーワードに応じて出し分けしたり、地域や時間に応じて出し分けする方法があります。
キーワードに応じて出し分け
検索されたキーワードによって広告文・広告見出しを出し分けする方法です。
例えば「石油ストーブ おすすめ」「ガスファンヒーター おすすめ」という2つのキーワードが同じ広告グループに登録されている場合、通常どちらのキーワードで検索されても広告グループに登録された同じ広告文が表示されます。
そこで、カスタマイザを使ってキーワード別に設定した場合、
「石油ストーブ おすすめ」で検索 → 広告文「石油ストーブのおすすめ」
「ガスファンヒーター おすすめ」で検索 → 広告文「ガスファンヒーターのおすすめ」
と、検索されたキーワードごとに広告文・広告見出しを出し分けすることができます。
地域に応じて出し分け
検索した地域に応じて、広告文・広告見出しを出し分けする方法です。
例えば「石油ストーブ 販売店」で検索したユーザーに対して広告を表示したい場合、
東京で検索した人 → 広告文「東京の石油ストーブ販売店」
大阪で検索した人 → 広告文「大阪の石油ストーブ販売店」
横浜で検索した人 → 広告文「横浜の石油ストーブ販売店」
のように、検索された地域に応じて広告文・広告見出しを出し分けすることもできます。
検索する時間に応じて出し分け
検索結果に広告が表示された時間帯に応じて、広告文を出し分けすることができます。
例えば、石油ストーブのセールが3日後に終了する場合、
広告文は
「石油ストーブのセール、あと3日」
と表示されますが、 翌日には
「石油ストーブのセール、あと2日」
の表記で、検索された時間帯に応じて広告文・広告見出しを出し分けすることができます。
広告カスタマイザーで品質スコアが改善できる仕組み
品質スコア改善には、上で挙げた3つの出し分けのうち、キーワードに応じた出し分けを行います。
この方法では、キーワードごとに、それぞれのキーワードが入った広告文を出し分けできます。
先ほどの例であれば、「石油ストーブ おすすめ」で検索したユーザには「石油ストーブ」というキーワードが入った広告文を、「ガスファンヒーター おすすめ」というキーワードで検索したユーザには、「ガスファンヒーター」というキーワードが入った広告文をそれぞれ表示させることができるのです。
このことで、検索キーワードと広告文をマッチさせることができ、品質スコアの三要素のひとつ、広告の関連性を高めることができます。
また、広告カスタマイザを使用することで、検索キーワードと広告文のマッチ度を上げることが可能になります。
ユーザーにとっても、自分の知りたい情報にマッチした検索結果と認識されやすくなるので、クリック率の上昇が見込め、クリック率を基に算出される推定クリック率も上げることも可能になります。
広告カスタマイザーの設定方法(Google運用画面)
それでは実際の設定方法を見ていきましょう。
ここでは、品質スコアを向上させることができる、キーワードごとの広告カスタマイザー設定方法について説明します。
広告カスタマイザ属性の設定
広告カスタマイザで広告テキストを登録する前に、広告テキストを設定する場所である、広告カスタマイザ属性の設定を行います。
広告カスタマイザ属性に属性名やその種類を設定し、その後、広告の設定→実際に広告文に表示させる広告テキストの登録という順になります。
広告運用画面から、「ツールと設定」→「ビジネスデータ」
広告カスタマイザ属性→新規追加→属性名とデータの種類を入力します。
属性名は任意(ここでは、text01)、データの種類は、品質スコア改善目的であれば「テキスト」を選択します。
広告の設定
次に、カスタマイザー属性に設定する広告テキストが表示される広告を作成します。
手順は通常のレスポンシブ検索広告の作成手順と同じですが、広告テキストを挿入する場所には、以下の文法で記述を行います。
{CUSTOMIZER.属性名:デフォルト文}
「属性名」の部分には先ほど設定した属性名を、デフォルト文の部分にはカスタマイザが表示されない場合に表示される代替広告文を入力します。
具体例をあげると、以下のような設定になります。
{CUSTOMIZER.text01:暖房器具ならSPENDA商事}
この場合、属性名は上の例と同様に「text01」で、カスタマイザで表示させる広告フレーズが設定されていないキーワードの場合に表示されるデフォルト文が「暖房器具ならSPENDA商事」になります。
キーワードごとに属性を設定
最後に、実際に広告に自動挿入されるフレーズをキーワードごとに設定していきます。
キーワード一覧の画面に行き、「表示項目を変更」から「キーワードの表示項目を変更」欄内、「すべての列をクリック」 。
「広告カスタマイザ属性」内の自分で設定した属性名(text01)を選択し、OK。
キーワードの画面に戻り、キーワードの属性名列(text01列)の🖊マークをクリック。
「カスタム値を使用する」を選択し、入力欄に広告文を入力する。
このカスタム値の入力を、登録するキーワード分だけ行う。
これで広告カスタマイザの設定は完了です。
実践的な活用例~ECサイトの例~
これまで、広告カスタマイザの概要と設定方法を見てきました。
次に、広告カスタマイザを活用して品質スコアを改善したECサイトの例を紹介します。
概要と課題
当ECサイトはアイテム数・種類が多く、同一広告グループ内に様々な種類のキーワードが含まれています。
また、アイテム名・種類以外でも、セール、アウトレット、販売店、通販など、関連するキーワードが多数あります。
キーワードの幅広さにもかかわらず広告文が汎用的なものになるため、指名キーワードにもかかわらず品質スコアが上がらず、改善が大きな課題でした。
改善手法
キーワードを入れた広告文をカスタマイザ属性に設定することで、広告の関連性とクリック率・推定クリック率を上げることを目指します。
改善結果
下記は施策実施後の広告運用画面です。
(履歴が施策実施前)
指名キーワードxアウトレット
設定前後で、
広告の関連性 平均的→平均より上
推定クリック率 平均的→平均より上
品質スコア 7→10
指名キーワード x ショップ
設定前後で、
広告の関連性 平均的→平均より上
品質スコア 7→8
他にも多くのキーワードで改善が見られました。
注意点と最適化のヒント
ここでは、広告カスタマイザを利用して品質スコアを上げる際に注意すべきこと、最適化するヒントになるものを紹介します。
まずはキーワードとクエリの一致から
広告運用画面で、品質スコアの欄が-になっている状態では、広告カスタマイザは品質改善に効果を発揮しません。
この状態は、キーワードと検索クエリが一致していない状態ですが、品質スコアがついていないので、品質スコアを改善することもできません。
まずはクエリに多いキーワードを追加登録するなどして、クエリとキーワードを一致させ、キーワードに品質スコアがつくようにする必要があります。
品質スコアがついてから、ここで紹介した方法を使って品質スコアを改善しましょう。
キーワードURLの設定も同時に行う
広告カスタマイザを設定することで、検索したユーザーがよりスムーズにサイトへ流入する導線づくりができます。
そのユーザーをCVに結びつけるには、ユーザーが検索した検索クエリと流入先ページの関連性を高めることが大切です。
具体的には、キーワードごとにそのキーワードに最適な流入先ページのURLを設定する方法があります。
検索クエリ→キーワード→広告文のマッチ度を広告カスタマイザで高め、キーワードURLの設定を行うことで流入先まで関連性を高め、検索〜CVまでの導線を整備することができるのです。
また、品質スコアの三要素であるランディングページの利便性を上げることもでき、さらなる品質スコアの向上を通じてクリック単価低下などの効果も期待できます。
キーワードの挿入とユーザビリティ双方を考えた設定を
広告カスタマイザで設定する広告文に、ただキーワードを挿入するのではなく、ユーザーから見て魅力ある広告文になるように意識することは、通常の広告文を作るのと同様に大切です。
ユーザーにとって、自分が検索したキーワードが入っているだけでなく、それがクリックしたくなるような広告文であってはじめて、クリック率の向上につながるからです。
キーワードが長くてカスタマイザに入りきらないときも、ユーザビリティを意識しつつ類似語に置き換えれば、より高い広告カスタマイザの効果が得られるでしょう。
まとめ
広告カスタマイザを活用することで、広告のパーソナライズが可能となり、ターゲットオーディエンスに対してより関連性の高いメッセージを提供できます。
同時に、そのことを通じて品質スコアを上げることができ、クリック単価を下げることができるなどの効果もあります。
この記事では、広告カスタマイザの設定方法とそのメリットを詳しく解説しました。
メリットには、クリック率の向上や、品質スコアの三要素である広告の関連性・推定クリック率の向上を通じて品質スコアを改善させることができることがあります。
実践的な活用例に挙げたように、ECサイトのようなキーワードが幅広い案件では大きな効果が期待され、それ以外にも、地域名掛け合わせキーワードなどに設定するといった方法もあります。
こういった活用例を参考にしながら、注意点と最適化のヒントを踏まえて広告カスタマイザを適切に運用することが、デジタルマーケティングの成功に不可欠です。
このガイドが、広告カスタマイザを用いた効果的な広告戦略の構築に役立つことを願っています。







