過去1年で自動化された弊社のタスク例

2023年初頭から「Chat GPT」によって、多くの仕事が代用できるようになりました。
それまでもツールや機械による自動化で効率化できているタスクもあったものの、今年の変化はすごいものだと思います。

今後もこれが加速していくことは、間違いないでしょう。

「自分が今行っている仕事もツールに取って代わられるのでは?」と心配することもありますが、この1年くらいで具体的に弊社のタスクで時間短縮された例や、今後は人間がどの領域に注力すればよいか考えてみました。

自動化ツールで時間短縮されたタスク

短縮例1:英語YouTubeの和訳整理

専門分野の情報を収集する際に、英語のWEBサイトやYouTubeもチェックしています。
WEBサイトはそのまま翻訳ツールを使えばよいですが、YouTubeは文字起こししてGoogleドキュメントにまとめていました。

詳細は英語の専門YouTube動画を日本語で理解する方法について記載した記事の方法で、1個につき20分くらいかかっていました。
過去数年の変遷は、下記のとおりです。
2015年:音声を録音して、英語が得意な人に外注する。約1週間後に日本語として納品される。
2020年:YouTubeの文字起こし機能で、Wordやドキュメントに貼り付けて整理する。和訳ツールで日本語の文章に変換して、1個につき30分くらい。
2022年:Chrome拡張機能「DeepL翻訳」を使って、YouTube→deeplに一発で変換。1分以内に日本語に変換され、繋がりが不自然な部分をChat GPTで校正させれば完成。

このようにして、1人で短時間で情報収集できるようになりました。

短縮例2:文章の作成、チェック

この記事もそうですが、執筆者が書き上げた後にチェックが必要です。
数年前までは「自動チェックツールを、いくらで導入しようかな」と考えていたのですが、これもChat GPTで様代わりしましたね。

2015年:別のスタッフに「日本語でおかしい箇所や、意味が分かりづらい箇所をチェックしておいて」と伝えて細かい所まで確認させる。
2018年:自動文章作成ツール、記事較正ツールを、年間予算で組んで使いこなす。
2023年:Chat GPTで「次の文章で、日本語の表現がおかしいところを指摘してください。」と1行目に書いて、2行目以下に本文をコピーすれば1分以内に返信がある(文章量に上限あり)。

これも大まかな部分はChat GPTに依頼して、あとは細かい部分の修正は自分一人ですぐにできるようになりました。

短縮例3:広告管理画面,解析ツールの数値チェック

WEBツール、売上管理など、データを扱わない会社ありません。
弊社では広告運用で自社、他社ともに膨大なデータを扱っており、データ集計と分かりやすく可視化することが生命線です。
ここは会社によって大きな差が出る部分ですが、毎年確実に精度、効率面で進歩しています。

2015年:Excelでダウンロード、集計して、定型化したチェックリストや作業フローに基づいてスタッフがチェックする。1アカウントごとに膨大な時間がかかるし、集計ミスも定期的に起こる。
2019年:BIツール(弊社ではTableau)で、表やグラフで可視化して手っ取り早く確認する。データソースに更新したデータを手動で保存する作業はスタッフに任せる時間がかかるが、集計ミスはだいぶ減った。
2023年:BIツールと広告管理画面を自動接続して、毎朝5時に昨日までのデータが上書きで自動更新される。責任者が重要数値を確認して異常がないか確認する。重要数値をみるだけであれば1アカウントにつき数分で済む。


広告運用のデータでは、Google広告、Yahoo広告が多く、それぞれの一般的な集計手順を下記にまとめています。
Google広告のスクリプト機能でスプレッドシートへ自動出力設定した
Yahoo!広告スクリプトでスプレッドシートへ自動出力設定した

会社の仕事をサッカーに例え、今後の人間の担う役割を考える

このような状況で、「人間だけができる領域はどこか」について、サッカーに例えて考えてみました。
次のようなイメージかと思います。

ツールに代替されるのは、ハーフラインまでボールを運ぶ作業

ご存じのとおり、Chat GPTやBing AIツールは、「大量データの一次収集やブレインストーミングに向いているが、正確性には欠ける」という評判が専らです。ただ、上記のように今まで何時間も人間が時間をかけていた作業を短時間でこなせることに間違いはありません。例えば、「一次リサーチ」「下書き作成」などです。

最終決断や実行がゴール前とすれば、自軍のゴールからハーフラインまでボールを運ぶ作業が、それに当たる気がします。

もちろん、味方のキーバーとディフェンダーが必要ないという意味ではなく、マイボールであれば奪われる可能性が低いままボールを前に運べます。つまり、多少大雑把でも許される=ツールによる大量収集や一次調査に似ている、という意味です。

まだまだ人間のほうが強いのは、ハーフラインからゴール前までボールを運ぶ作業

ハーフラインを超えると、相手の守備陣も警戒して簡単には前へ進めなくなります。
この時に、狭いスペースでのワンツーパスや三苫選手のようなハイテクなドリブルが必要です。

つまりツールや機械ではなく、人間にしかできない部分ということになります。
例えば、「未来を予測したうえで提案」「不確定要素が多い中で数値改善」などです。

コンサルでクライアントに向き合うために

これを弊社のようなクライアントに対するコンサル業に当てはめてみます。

ハーフラインまで進む作業は代替クライアント側でできてしまうか、ツールで簡単に対処できるものです。
重要なのはその後で、クライアントがゴールに向けてシュート(つまり決断や実行)するために的確なパスをしたり、ディフェンダーを抜き去って、後はシュートをするだけの状態でボールをクライアントへ渡せるかどうかということになります。

例えば、「最新情報を考慮したうえで将来的な方向性の提示」「AIツール以上の数値改善」です。
弊社では、常にここを意識しており、これからも一層重視していかなければなりません。

社内のメンバーとリーダー間で向き合うために

社内の仕事をメンバー同士で行う際も同様で、「リーダーやマネージャーに報告する際に、ゴール前の足元に的確なパスを出せるようにする」「リーダーが時にはハーフラインまでボールを取りにいって、メンバーのところまでスムーズにボールを運ぶ」と言った心がけが必要です。もちろん状況によって、ハーフライン、ゴール前の位置関係は変わりますが、AIツールと社内の仲間、クライアントの位置関係を今のサッカーの話のように、適切なボール位置の把握とゴール前への的確なパスを意識して取り組んでいく必要があります。

逆に価値が下がる人間タイプ

「ツールや機械によって単純作業は減っていく」ということですが、逆に人間の価値が下がるのはどういうタイプでしょうか?

それは、「ゴール前の人から指示を待っていて、ハーフラインまでしかボールを運べない人」です。
つまり、言われたことだけを報告して、それ以外のことは目的に関係あってもできなかったり、うまく伝えられない場合です。
これでは、ゴール前にいるメンバーがハーフラインまで戻って来ないといけないため、当然負担が増えます。

人間にしかできないことに集中して、どんどんゴール前に向かわないといけない中で、このような対応しかできない人は価値を下げていくことでしょう。

まとめ

ツールや機械が人間の仕事を代替できる領域は今後もどんどん増えていきます。
逆に単純作業を依頼するケースはどんどん減っていっていき、大量に処理しないといけない場合などに限定されていきます。
常に時代の変化に合わせて会社やチームの戦術を理解して、適切に考えたり行動ができる人材になっていきましょう。

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