「Data + AI World Tour Tokyo」で見えたデータビジネスのトレンドと未来

2024年10月14日にDataBlicks社が主催で赤坂のANAインターコンチネンタルで開催された「Data + AI World Tour Tokyo」のカンファレンスに参加しました。

写真撮影や録画はすべて禁止だったので詳細は見せられないですが、様々な企業が登壇したりブースで説明したりして最後の懇親会も大盛況でした。

DataBlicks社は近年で業績をどんどん伸ばして、サービスの利用社数も毎年増えて勢いのある会社ですが(今回のカンファレンスも無料)、企業がデータをどのように活用して10年前、20年前からどのように変わっているか肌で感じることができるカンファレンスでした。

弊社でも普段から広告計測ツール、サイト内や既存客の管理ツールなどで非常に多くのデータを扱い専門でもあるので、今回はデータビジネスや最近の変遷について分かったことをまとめます(あくまで主観になります)。

データを良く活用している企業

まず、データを良く活用している有名企業とその種類を挙げてみました。

Google – 検索、広告、位置情報
Amazon – 購入履歴、顧客の閲覧行動、在庫管理
Meta (旧Facebook) – ソーシャルメディア、広告、ユーザー行動
Microsoft – クラウド、ビジネスインテリジェンス、製品使用
Apple – ユーザーエコシステム、健康、デバイス使用
IBM – 企業分析、AIソリューションのビジネス
Salesforce – CRM、顧客管理、営業
Snowflake – ウェアハウス、クラウドストレージ、分析
Oracle – ベース、ERPシステム、ビジネスインテリジェンス
Databricks – 分析、AI処理、ビッグ処理

各社とも、さまざまなデータを保有してサービス提供やビジネス判断などに活かし、特にAIやビジネス分析の分野で重要な役割を担っています。

この会社と内訳は、10年前、20年前とは当然ラインアップが変わっている訳で、その流れの違いを振り返ってみました。

2010年以前のデータ活用

2010年以前は、大半の企業に取ってデータは主に「記録」や「報告」の要素が強かったでしょう。
日報や顧客情報をパソコンに入力して、売上などの金額もExcelで集計するといった基本的な情報をデータとして保持して、後から必要な際に確認するためにデータを蓄積していく活用の仕方がほとんどでした。

多くの企業はExcelや簡単なERPシステムを使って、データを分析する概念はあまりなく、むしろ保管・管理することを重視していたでしょう。

2010~2020年頃のデータ活用

この頃になると、GoogleやAmazonを中心としたクラウド技術の普及によってデータの保存・アクセスが格段に便利になり、「データ活用」の重要性が注目されるようになりました。

特にビッグデータ分析が話題となって、データを顧客インサイトやマーケティング戦略に生かす動きが加速して、少しずつ体験したり知見を積み重ねてきました。

この頃に「データサイエンティスト」という言葉も出てきて需要が増えて、企業はデータから得られる洞察を「意思決定」に活用するようになりました。

ただ、多くの企業は分析インフラの整備をどのように行うか分からなかったり、今より遥かに簡素なものでした。その後の事業展開に活かせるデータ基盤を作る途中段階にあり、データ活用が一部の部署に限定されていたり、複雑さに直面することも多くありました。

2020年~のデータ活用

最近はどの企業でも、データは資産であったり事業の現状や今後の戦略を考えるにあたって重要なものとされています。
各社がビジネスの多くの場面で、データを活用して他社より先に進んで有利になろうとしています。

また、AI(人工知能)や機械学習、情報分析ツール(BIツール)が広く使われるようになりました。
そのおかげで、大量のデータを早く傾向をつかんだり、分析や将来を予測したりすることができます。
データは会社の判断に欠かせないものになっています。

それと同時に、データの管理方法やセキュリティも重要視されています。
データの内容に矛盾がないよう気を配り、正しい使い方をすることも優先度が高くとらえられています。

「データの民主化」という言葉も出始めてきて、社内の誰もがデータを扱ったり見れるようにする環境が整ってきました。
データの専門家でない社員でも、必要なデータに簡単にアクセスして、自分の仕事に活用できるようになってきています。

このような移り変わりの中で、トレンドの変化を3つのポイントにまとめてみました。

①AI、BIの活用はますます重要に

当然ですが、これからの企業活動においてAIとBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの活用は、ますます重要になっていきます。

AIは日々進化を続けて、企業のデータから役立つ予測や気づきを得るための技術として発展しているので、お客様が次に何を求めているのかを予測したり、より良い売り方を考えたり、在庫を適切に管理したりするなど、ビジネスのあらゆる場面でAIは大きな効果を発揮していきます。

また、BIツールも大量のデータをすぐに見やすい形に変え、経営判断に必要な情報を提供する欠かせない道具となっています。 以前は、データ分析の専門家や専門部署に頼らないとできなかったデータ分析も、今ではBIツールのおかげで、多くの社員が簡単に行えるようになりました。

このように、誰もがデータを使えるようになったことで、部署や役職に関係なく、その時々の最新情報をもとに戦略的な判断ができるようになっています。
これからはAIとBIがさらに一体となり、より高度な機能を簡単に使えるようになると考えられます。そのため、企業はより早く、より正確な判断ができる環境が整っていくでしょう。

②ツール間連携は自動化、シームレスへ

企業が取り扱うデータ量や導入するツールの数も年々増加しており、それに伴って様々なツールをうまく連携させることが重要になってきています。

これまでは、異なるシステム間でデータを移動したり、まとめたりする作業に多くの時間と手間がかかっていました。
必要な情報をすぐに見られないことも多く、仕事の効率が上がらない原因となっていました。

しかし今では、クラウドサービスやシステム同士をつなぐ技術(API)が発達したことで、シームレス(境界がない)な状態になりスムーズに利用できるようになってきています。
そのため、部署や仕事の種類が違っても必要な情報を簡単に共有できるようになり、会社全体でデータを有効に使える環境が整いつつあります。

これからは様々な情報分析ツールやAIシステムも、共通のルールで簡単につながるようになるでしょう。
そうすれば会社内でも「データの民主化」もしやすくなり、複数のツールを同時に使いこなすことができるようになります。

このような連携が進むことで、データを使った判断がより早く、より柔軟にできるようになり、結果として企業の競争力が一層高まっていくでしょう。

③アウトプットは素早い判断が重要

AIやBIツールでデータが境界なく自動化されるにつれて、大量のデータから得られた結果をすぐに判断することが重要になってきています。

すべてのビジネスマンは以前より早く判断を下す必要に迫られています。
そのため、複雑な分析結果や大量の数字データを、すぐに理解して行動に移せる形で示すことが求められているのです。

分かりやすく情報を提供することで、経営者や現場の担当者が適切なタイミングで判断を下しやすくなり、事業の成長も早くなっていくでしょう。

人工知能(AI)や情報分析ツール(BIツール)の進歩により、データを見やすく表示する画面や技術も、より直感的で分かりやすいものになってきたので、必要な情報を目で見て理解しやすい形で共有することもやりやすくなってきました。

またデータに基づく判断をサポートするため、複雑なデータでも要点を分かりやすく伝える図表や、重要な変化を知らせる機能も充実してきています。

このように素早い意思決定をするためにすぐに判断できる形でデータの分析結果を示すことが、これからのデータを活用するうえでとても重要です。

まとめ

このカンファレンスでも改めて感じたのは、データが企業の競争力を高めるために欠かせないものだということです。
加えて、会社内で経営者、営業チーム、現場のオペレーターチームなど、それぞれ異なる立場のメンバーそれぞれの要望に応えていく必要があります。

経営者は、会社の戦略を考えるためにデータを活用したいと考えています。
一方で、技術者は仕事の効率を上げることや、使いやすさを重視しています。
実際の仕事の現場でそれぞれ求めるものが違い、その中で役立つものでなければならないのです。

このような状況の中、DataBlicksは他の情報分析ツールとの違いを明確にしようとしています。
高度なAIの機能を組み込んだり、データの管理体制を強化したりすることで、より魅力的なツールとしての評価を得ています。

DataBlicksに限らずこれからのデータビジネスは、経営者と技術者、両方の立場からの意見を取り入れることで、さらなる発展が見込まるので、弊社も自社と支援する企業先のそれぞれの立場を改めて考えて、顧客に強く求められるサービスを提供し続けていきます。

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