弊社ではマーケティング、生成AIの知見をためながら顧客の事業拡大の支援を行っておりますが、マーケティング戦略を考える際に重要になってくる「リサーチ」について、Chat GPTやGeminiなどの生成AIが出てくることで、大きく変わろうとしています。市場、競合、そして自社の状況をより広範囲な情報を正確に網羅して把握して、成功確率の高い資料を考えて場合によっては顧客に提案することが一層求められるようになってきています。
以前であれば、そのリサーチや資料作成にはアナリストや調査会社などの専門職の方が膨大な時間と労力をかけていました。しかし今はChatGPTやGeminiなどのDeep Researchやプロンプトと呼ばれる質問するときの投稿文を工夫すれば、それに匹敵するアウトプットを用意できるようになりました。

マーケティング戦略を考えるマーケターでいえば、まずリサーチをしてそれらの情報を集めて整理して、顧客や関係先に発表する場合はスライドやプレゼンテーションなどの資料の骨子を考えて作成して、最終確認をしながら完成させるのが一連の流れです。これが、以前より驚くほど短時間でできるようになりました。
AIによる大規模言語モデル(LLM)は、マーケティング業界だけでなくすべての仕事の働き方を根本から変えようとしています。本記事では、AIを活用してマーケティング資料作成を行う場合を例に、普段の仕事を効率化して一気にリサーチから資料完成まで一貫して行う具体的な方法を紹介します。

AI活用によるマーケティング資料作成の4ステップ
AIで望む回答を引き出しながら資料に落とし込むまでの4つのステップをご紹介します。この順番で進めることで、完成度の高いマーケティング資料を短時間で作成することが可能になります。
ステップ1:目的に沿ってプロンプト内容を決める
まずは資料を作成するために必要な内容を絞り込む必要があります。資料に盛り込む内容と含めない内容の選別をすることになるのですが、その際に目的や目標をはっきりさせる必要があります。「ブランド成長のための集客プランを資料にまとめる」「事業の会員登録者1万人を獲得するための事業計画書を作成する」など個別のミッションに応じて方針を定めていきます。
その次にAIへの「指示出し」、すなわちプロンプトの内容を決めていきます。あまりがっちりと決めるというよりは大雑把なままで、大枠や質問の内容をしっかり決めます。
■プロンプト内容の考案ポイント
役割を与える:
「あなたは経験豊富なマーケティングコンサルタントです」のように、AIに具体的な役割を与えることで、その立場に沿った専門的な回答が期待できます。
背景情報を伝える:
業界、自社の状況、課題、資料の目的など、できるだけ詳細な背景情報をインプットします。
制約条件を設ける:
「3C分析のフレームワークで分析してください」「箇条書きで5つのポイントを挙げてください」など、アウトプットの形式や範囲を具体的に指定します。
この最初のステップでAIとの共通認識をしっかりと築くことが、後続のプロセスをスムーズに進めるための鍵となります。
下記の公式LINEに友達登録して頂くと、今回のサンプルコードが受け取れます。LINE登録の後にスプレッドシートのURLが共有されるので、「マーケティング資料」などと打ち込めばYouTube動画の特典でも共有しているそのタイトルがヒットするので、その隣の列にあるURLをクリックすれば資料がダウンロードできる状態になります。 その他にも最新のGAS、AI最新情報も共有しているので是非ご覧ください。
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ステップ2:AIで広範囲をリサーチ、3C分析など
従来、数日から数日かかっていた市場リサーチも、AIを使えば数分から数時間で完了します。特に、マーケティング戦略で良く使われる「3C分析」などはAIの「Deep Research」ですぐ行えて、優秀なアナリストが長年の知見を元に考え出した内容も一瞬で再現できます。
■AIを活用した3C分析の実践

Customer(市場・顧客分析):
「[ターゲット市場]における最新の消費者のトレンドを教えてください」
「[製品カテゴリ]の主な顧客層のペルソナを3パターン作成してください」
「顧客が[製品]を購入する際の意思決定プロセスを分析してください」
Competitor(競合分析):
「[業界]における主要な競合他社を5社挙げ、それぞれの強みと弱みを分析してください」
「[競合A社]の最新のマーケティング戦略について、公開情報から分析してください」
「[自社製品]と[競合製品]の機能、価格、評判を比較する表を作成してください」
Company(自社分析):
客観的な視点を得るために、あえてAIに自社を分析させることも有効です。
「[自社名]の公開されている情報や評判を基に、市場におけるポジショニングを分析してください」
「当社の[製品]が持つ、競合にはない独自の強み(USP)は何だと考えられますか?」
Chat GPT, GeminiなどのDeep Research を使えば、インターネット上の膨大な情報にアクセスして、10分くらいで情報を整理・要約してくれます。これにより、マーケターや担当者は情報収集の作業から解放され、より戦略的な分析や考察を考えることに時間を集中させることができます。
ステップ3:AIで資料の骨子を作成
リサーチが完了したら、次はその情報を基に資料の骨子、つまりストーリーラインを組み立てるステップです。ここでもAIは強力なパートナーとなります。Geminiなどは、構造的な文章の生成やアイデア出しに優れており、長文であっても大量の情報をまとめてスライド資料の骨子作成に非常に役立ちます。
■Geminiを使ったスライド骨子作成の例
プロンプト例:
「あなたはプレゼンテーションの専門家です。ステップ2で得られた3C分析の結果を基に、新規事業の立ち上げを提案するためのプレゼンテーション資料の骨子を、スライド10枚構成で作成してください。各スライドのタイトルと、記載すべき要点を箇条書きで示してください。」
アウトプット例:
スライド1:タイトル
新規事業提案:[事業名]
[会社名] [部署名] [氏名]
スライド2:現状の課題と機会
現在の市場における課題(顧客の未満足ニーズ)
市場規模と成長性のデータ
我々が参入すべきビジネスチャンスの提示
スライド3:市場・顧客分析(Customer)
ターゲット顧客のペルソナ
顧客が抱える具体的な悩みや欲求
AIによるリサーチから得られたインサイト
…(以下、競合分析、自社分析、提案内容、戦略、収益計画など続く)
このように、AIで骨子を作成してそれを自分の目でチェックして修正することで、構成の抜け漏れをなくして質の高い資料を完成させることができます。そしてより詳細な情報の追加や、独自の視点を加えることを忘れないようにしましょう。
ステップ4:完成した資料の入念チェック
こうして形になったリサーチ資料を、最終的に完成させる段階でもAIを使います。
主に次のような作業を行います。
1. ファクトチェック:
AIはたまに「ハルシネーション」と呼ばれる、もっともらしいけど嘘の情報を回答することがあります。特に、数値データや固有名詞、専門的な情報については最新でなかったり別の要素を繋ぎ合わせることがあるので、必ず信頼できる情報源(公的機関の統計、信頼性の高い調査レポートなど)で裏付けを取る必要があります。

2. 独自の価値の付加:
AIが生成した文章やデータは、あくまで客観的な事実や一般的な分析です。そこに、自社の理念やビジョン、担当者自身の熱意や独自の解釈といった「人間ならではの価値」を吹き込むことで、初めて独自性やブランドらしい考え方が組み込まれて、読む人の共感を得ることができます。AIが作成した資料をそのまま外部に共有することは絶対NGです。
あくまでAIを「優秀なアシスタント」と捉え、最後の仕上げは人間が責任を持って行うスタンスが重要です。この連携によって短時間で質の高いアウトプットを生み出せるのです。
まとめ:AIを最強のパートナーとして、マーケティング力を一段UP
本記事では、AIを活用してマーケティング資料作成を劇的に効率化するための具体的な4つのステップと、その具体的な方法について紹介しました。
繰り返しになりますが、AIは私たちの仕事を奪う脅威の存在ではなく、能力を伸ばしてくれる強力なパートナーです。AIに単純作業を任せることで、私たち担当者はより創造的で戦略的な思考に時間を使うことができます。
今回ご紹介した手法を実践してAIを日々の業務に取り入れることで、我々の仕事の生産性を飛躍的に上げるきっかけにしていけます。本記事も参考に、これからのマーケティングを新たな次元へと引き上げていく流れをより一層作っていければ幸いです。