毎週のレポート作成、コメント出力をChatGPT、GASで自動出力

 生成AIが普及して、WEBマーケティングの業界でも日々のタスクを効率化しなければならない流れが加速しています。弊社でも日々WEBマーケティングの顧客支援を行う中で、繰り返し行っている、毎週、毎月のレポート作成は生成AIで効率化、自動化していかないといけない業務の一つです。これはどの会社でも同じことと思います。

 WEBマーケティングで扱う流入、CVを中心とした数値を載せて現状と改善案をまとめるのは良くある作業です。この時に、データの集計、グラフの作成、そして考察をそれぞれ資料にまとめるます。この一連のプロセスに、毎月多くの時間を費やしている方も多いことでしょう。

 弊社では生成AIを使って効率化できないか試行錯誤していたのですが、グラフや表の内容を読み取ってそれに対するコメントを生成AIに考えさせることは中々ハードルが高いとされてきました。しかし、ChatGPTやGeminiでプロンプトを使った機能の進化でこれが徐々に可能になってきました。

言葉だけでは分かりにくいので、フロー図にまとめると下記の流れです。

定期的なルーティン作業であるレポート作成はこれまで人力でデータ集計やコメント作成を時間をかけて行っていましが、将来的には分析や文章化、さらには資料作成といったプロセスを、AIの力でできる部分が増えていくはずです。

 今回は生成AIとGoogle Apps Script (GAS) を活用して、定型レポートの作成を時間短縮するフローについて、具体的なステップを交えながら詳しく解説します。本記事でレポート作成業務を効率化するためのヒントが見つかれば幸いです。

データ分析から資料作成までの新ワークフロー

それぞれの手順と詳細について、順番に説明します。

定型レポートの用意

 普段繰り返し作成している定型のレポートや報告書を用意します。PDFで5-10枚くらいであれば生成AIに読み込ませて良質なアウトプットが出せますが、20枚、30枚と多くなっていくと1枚あたりの内容の深さが浅くなっていくので、あまり多くない分量の書類を読み込ませてみましょう。

②プロンプトジェネレーターでプロンプト作成

準備したデータを元に、生成AIに指示を出すための最適な「プロンプト(指示文)」を自動で生成します。

プロンプトジェネレーターの活用と詳細

プロンプトの内容によってアウトプットも変わってくるので、ここもAIに考えてもらいます。ここでお勧めなのがプロンプトジェネレーターです。以前までは、Chat GPT、Geminiを使って自分でプロンプトを考えて、指示文を作成していく必要がありました。

しかし、今はプロンプト自体をAIに考えてもらうほうが便利であり、その流れが加速しています。

プロンプトジェネレーターとは?

プロンプトジェネレーターとは、特定のタスク(今回はレポート作成)に合わせて、AIへ質の高い指示文(プロンプト)を出力してもらうOpen A I社が提供しているツールです。

例えば、「対象期間」「キャンペーン名」「主要KPIの数値データ」などを出力できるプロンプト文を用意したい時に、大まかな聞き方をしても以下のような詳細なプロンプトを自動的に生成してくれます。

あなたはプロのデータアナリストです。
以下のデータに基づき、Webサイトの月次パフォーマンスに関するレポートを作成してください。
前提条件
対象期間: {対象期間}
比較対象: 前月および前年同月
主要KPI: PV, UU, CVR
報告相手: マーケティング部門のマネージャー
入力データ
{主要KPIの数値データ}
出力形式
以下の構成で、客観的な事実と考察を分けて記述してください。
1. エグゼクティブサマリー
2. 主要KPIの動向
3. 考察とネクストアクションの提案

このような「型」を用意しておくことで、毎回長いプロンプトを考える手間から解放されて、担当者が変わってもプロンプト文の質が落ちることなく、安定して求める回答を引き出せるようになります。

③生成AI (ChatGPT / Gemini)で要約、分析コメントを出力

プロンプトジェネレーターが作ったプロンプト文を定型レポートの添付とともにChat GPTに打ち込みます。するとChat GPTがプロンプトに沿って考えてデータの要約、傾向分析、考察コメントを出力してくれます。プロンプトの内容によってMarpdown形式で出力されますし、後に記載するGASコードを出力することも可能です。また、Chat GPTだけでなくGeminiでも同様のことが行えます。

ChatGPT・Geminiの活用でアウトプットの精度UP

プロンプトの内容によって、AIが出力する内容も変わり最終的なアウトプットの質も変わります。それを左右する内容やどのようにクォリティを高くしていけば良いかコツについて次にお伝えします。

生成AIに任せる役割

生成AIに任せる役割を理解することは重要です。項目別に分けると、ChatGPTやGeminiで次のことを行ってくれます。

データの要約:提供された数値データから、最も重要なポイントを簡潔にまとめる。

傾向の分析:前月比や前年同月比での増減を計算し、良い傾向か悪い傾向かを特定する。

要因の推測:数値の変動の背景にある要因を、一般的な知識から推測する。(例:「CVRが向上しているのは、先月から開始したキャンペーンAの効果が出始めている可能性があります」)

レポートテキストの生成:上記の内容を、ビジネス文書として適切な構成とトーンで文章にする。

このように、ゼロから文章を考える部分をAIが代わりに担ってくれるので、レポート作成者はAIが作成した下書きをレビューし、より深い洞察や戦略的な視点を加えることに集中できます

アウトプットの精度を高めるコツ

AIからもっと精度の高い回答を引き出すには、プロンプトに以下のような要素を盛り込むことが有効です。

役割(ペルソナ)の指定:「あなたはプロのデータアナリストです」のように、AIに特定の専門家として振る舞うよう指示する。

前提条件の明記:レポートの目的、報告相手、重視すべき指標などを明確に伝える。

出力形式の厳密な指定:見出しの付け方、箇条書きの使用、表形式での出力など、フォーマットを細かく指定する。

思考プロセスの要求:「ステップバイステップで考えてください」と加えることで、AIが論理的に結論を導き出しやすくなる。

このような工夫を施すことで、AIの回答はよりあなたの意図に沿ったものになり、その後の修正の手間を最小限に抑えることができます

④Google Apps Script (GAS)で出力

AIが生成したテキストを受け取り、Googleスライドのテンプレートに出力する間の部分で、GASを使うとより完成度の高い資料を自動出力できる場合があります。生成AIだけに作らせるよりも細かいところまで指示できるので、生成AIで「スライドを作成するためのGASコード」の出力を指示する方法もあります。

その方法は、各スライドのコメントを出力してくれたChat GPTのチャット欄に続けて「上記をGoogleスライドに出力するためのGASのコードを作成してください」などで大丈夫です。

Google Apps Script (GAS) とは

GASは、Googleが提供するJavaScriptベースのプログラミング環境です。これを使うことで、Gmail、スプレッドシート、ドキュメント、そしてGoogleスライドといったGoogle Workspaceの各種アプリケーションを連携させ、日々の面倒な作業を自動化できます。

GASでスライドに直接出力

ここまで定型レポートのコメントをChat GPTで出力した一式の文章を、GASを使ってGoogleスライドへ直接出力します。あらかじめ用意しておいたGoogleスライドのテンプレートをコピーして、新しいレポートファイルを作成して、上記のGoogle Apps Scriptの画面を開きます。

取得したテキスト(サマリー、各指標の分析、考察など)を、テンプレートの決まった場所(テキストボックス)に自動で出力してくれます。

レポートのタイトルや日付なども、プロンプト文の記載に沿って指定された箇所へ自動で反映されます。

⑤スライド、パワーポイント資料を出力

PowerPointやGoogleスライド形式で、ほぼ完成した状態のレポート資料が出力されます。

このような作業の流れで、これまで数時間かかっていた作業が2,3ステップの作業で短時間で終わることもあります。特に、データを見て考察を言葉にする思考の壁打ちや、それを資料に落とし込む単純作業を大幅に短縮できるのが大きな利点です。この連携によって、人間が行う作業は「プロンプト文の中身の吟味」「AIが生成した文章の最終チェック」のみとなり、多大な時間をかけていた毎週、毎月の繰り返し作業からかなり解放されます。さらに資料の見た目やブランディングを統一できるテンプレート機能を活用することで、作業が特定の人に依存することなく誰が実行しても同じ品質のレポートをスピーディーに作成できる体制が整います。

まとめ

以上のように生成AIとGoogle Apps Scriptを活用して、定型的なレポート作成業務を劇的に効率化する手順を紹介してきました。この流れで行うことで、レポート作成にかかる時間を大幅に短縮できるだけでなく、空いた残りの時間をより思考したり外部の関係者とのやりとりに使えるようになります

まずは、毎月作成しているレポートの中から一つを選び、小さな一歩から自動化を試してみてはいかがでしょうか。生成AIという強力なパートナーと共に、あなたのビジネスをさらに加速させていけると良いですね。また、「何から始めれば良いか分からない」「自社に合った作業は?」「今使っている高額なサブスクツールをどう活用すれば良いか分からない」という企業様に向けて毎月限定で無料相談を受け付けているので、弊社HPお問合せフォームよりご相談お待ちしております。

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