その中でも「探索レポート」はGA4における代表的なレポート機能であり、従来のGoogle Analyticsのカスタムレポートに相当するものです。データを自由に探索し、さまざまな角度からの分析ができます。
今回は、その「探索レポート」について詳細をまとめました。
この記事を読むことで、探索レポートがどのようなものか、また自社サイトにどのように活用できるかということが分かります。
探索レポートの特徴
探索レポートには、データの探索と分析を効率的に行うための項目が並んでいます。左のサイドバーの一覧の中から選択することができて、下記の構造になっています。

2.タブ構造: 上部にはタブが並んでおり、複数の視点からの分析を同時に行いたい場合に新しいタブを追加することができます。
3.ビジュアルタイプの選択: 分析したデータをどのような形式で表示するかを選択するセクションがあります。テーブル、円グラフ、線グラフなど、目的に応じて適切なビジュアルを選べます。
4.セグメント: 画面上部にセグメントを設定するセクションがあり、特定のユーザー層や行動を持つセッションのみに焦点を絞った分析が可能です。
5.フィルタリング: 特定のディメンションやメトリックに対してフィルタを設定することで、結果をさらに細かく指定できます。
6.期間の指定: 分析する期間を指定する機能も備えており、日次、週次、月次のデータや、特定の日付範囲のデータを確認することができます。
7.データの並べ替え: 表示したデータの並び順を変更することで、特定のディメンションやメトリックの値に基づいてデータを昇順・降順に表示させることが可能です。
GA4探索レポートのテンプレート
GA4の探索レポートには、下記の7つのテンプレートがあります(2023年8月現在)。定期的に新しいテンプレートが追加されていくので、今後も新しい機能のレポートが追加されていくでしょう。

レポート種類 | 内容 |
---|---|
1.自由形式 | ディメンションや指標を選択し、表やグラフ、マップなど様々な形式でレポートを作成 |
2.ファネルデータ探索 | ユーザーがコンバージョンに至るまでの行動経路における、特定地点の通過率を可視化 |
3.経路データ探索 | ユーザーがサイト上で辿った経路をツリー形式で表示 |
4.セグメントの重複 | 国・年齢・性別・デバイスなどのユーザーセグメントを比較して、それぞれの関係性をベン図で可視化 |
5.コホートデータ探索 | 共通の属性を持つユーザーグループのリピート率が、時間の経過に伴なってどのように変化したかを分析 |
6.ユーザーのライフタイム | ユーザーのライフタイムバリュー(LTV)を評価 |
自由形式
自由形式レポートは、ユーザーが独自の視点でデータを可視化できる機能です。ディメンションや指標を自由に選択し、それを基に表、グラフ、マップなどのさまざまな形式でデータを表示できます。この機能は、特定の分析目的に合わせてカスタマイズされたレポート作成を可能にして、データの深堀りや知見を見つけやすくしてくれます。
ファネルデータ探索
ユーザーのコンバージョンに至るまでの行動経路を明確に表示する機能です。特定の地点やステップ間の通過率を可視化することで、ユーザーの離脱ポイントやコンバージョン障壁を特定できます。例えば、オンラインショップではカートに商品を追加から購入完了までの各ステップでの離脱率を確認することができ、改善施策を考えるのに役立ちます。
経路データ探索
ユーザーがウェブサイトやアプリ内でたどった具体的な経路を視覚的に表現できます。このレポートでは、ユーザーの導線や最も頻繁に訪れるページ、離脱ページなどをツリー形式で確認できます。この情報を元に、ウェブサイトのユーザビリティの向上やコンテンツの最適化を行う際の手がかりとして使用できます。経路の中での特定の行動やイベント発生の前後のユーザーの動きも明確になるため、ユーザーの行動パターンの理解が深まります。
セグメントの重複
異なるユーザーセグメントの間でのオーバーラップや関係性を可視化するツールです。国、年齢、性別、デバイスなどの基準で分けられたセグメント群の中で、共通して存在するユーザーを特定できます。このレポートはベン図形式で表示され、どのセグメントが他のセグメントとどの程度重なっているかを一目で確認することができます。セグメント間の深い洞察を得ることができます。
コホートデータ探索
特定の期間内に共通の属性や行動を持つユーザーグループ(コホート)の動向を分析できます。ユーザーの初回訪問日、イベント発生日などを基にコホートを形成し、そのグループのリピート率やエンゲージメントの変化を時間の経過とともに追跡します。これにより、新規キャンペーンや機能リリース後のユーザーの行動変化や、特定のコホートの生涯価値を評価することができて、ユーザーエンゲージメントの最適化に役立ちます。
ユーザーのライフタイム
ユーザーがサービスや製品との関わりを持つ期間中の行動や価値を確認できます。特にライフタイムバリュー(LTV)は、ユーザー一人当たりがもたらす総収益の予測値を示し、これによりマーケティングのROIや顧客獲得コスト(CAC)をバランスよく管理することができます。また、ユーザーがどの時点で離脱しやすいか、どのようなエンゲージメントが継続的な収益に寄与するかなど、生涯を通じたユーザーの行動パターンを明確に把握できます。
GA4データ探索の使い方
GA4データ探索では、まずはサイドバー左側の中から「探索」を選んだ後、分析で使いたいレポートを選択します。この時上述のテンプレートの中から選ぶか「+」で白紙の状態から作成していきます。基本的な使い方は下記のとおりで、3つの列に分かれていて左から順番に見ていけば目的に沿ったレポートが表示されます。
①右上の「+」を押す→②レポートで使う項目をドラッグで並べる→③結果が表示される

1.左側のタブ: データのビューを選択できます。テーブル、棒グラフ、線グラフ、円グラフなど、分析目的に応じた表示方法を選択できます。
2.ディメンションと指標: 画面上部に位置するこれらの欄では、分析に使用する主要なデータ要素をドラッグ&ドロップで簡単に選択できます。ディメンションはデータの「種類」(例:ユーザー地域、ページタイトルなど)、指標は「数値」(例:セッション数、平均セッション時間など)を指します。
3.フィルター: 特定の条件を満たすデータのみを表示することができます。例えば、特定の国や都市からのユーザー、あるいは特定の行動をしたユーザーだけを対象にすることが可能です。
4.セグメント: この機能を使うと、特定のユーザーグループやユーザーの行動パターンを定義し、それに基づいてデータを分析することができます。例えば、リピートユーザーと新規ユーザーを比較するなどの分析が容易になります。
あとは各設定の真ん中の列で、レポート名やフィルタや表示行など目的に沿って見やすいように変えていくだけです。手を動かしながら慣れていくのが一番良いので、画面上で操作を試しながら慣れていきましょう。
データを可視化する際の確認ポイント
データを視覚的に表現するために様々な機能が搭載されていますが、その確認するポイントをケース別にいくつか紹介します。流入元の把握
まず、トラフィックがウェブサイトにどのような経路で流入しているかを確認します。これには直接流入(ブックマークなど)、検索エンジン、参照元、ソーシャルメディアなどが含まれます。キーワード分析
検索エンジンからのトラフィックに関しては、どのキーワードでユーザーがサイトを訪れたかを分析します。これにより、ユーザーが何を求めているのか、またどのキーワードが効果的かを理解することができます。ランディングページの確認
どのページが最初の入口として機能しているかをチェックします。ランディングページのパフォーマンスは、ユーザーがサイト内でどのような行動をとるかに大きな影響を与えます。ユーザー行動の分析
ユーザーがサイト内でどのような行動を取ったか、どのページを訪れたか、どのページで離脱したかなどの情報を調べます。これにより、サイト内の流れや改善点を特定できます。デバイスやブラウザの分析
ユーザーがどのデバイスやブラウザを使用してアクセスしているかを確認します。これにより、モバイルフレンドリーなデザインやブラウザの互換性などの問題点を特定できます。地域別の流入
ウェブサイトの流入がどの地域から来ているかを分析します。地域別のトレンドや需要を捉えることで、地域特有のマーケティング戦略を立てる手助けとなります。【目的別】GA4データ探索のおすすめのレポート
GA4で多くの事業主の方が使うと思われるレポートをいくつか紹介します。流入元の結果表示
まずは左側メニューの「探索」をクリックし、「空白」を選択します。





コンバージョン経路の確認
次にユーザーがコンバージョンに至った経路を確認する探索レポートです。左側メニューの「探索」から「経路データ探索」を選択します。



探索レポートの保存と共有
一度カスタマイズしたレポートは、再度参照するために名前をつけて保存することができます。これにより、同じ分析を定期的に行う際に設定を毎回再入力する必要がなくなります。
直接リンク: カスタマイズされたレポートのURLをコピーし、チームメンバーや関係者と直接共有します。この方法では、受信者も同じGoogleアカウントを持っていないとできません。
別のログインアドレスの場合は、作成者がレポートの「共有」ボタンを押すことで見れるようになります。

スケジュールされたメール送信: 一定の間隔(例:毎週、毎月など)でレポートを自動的に関係者にメールで送信する機能を利用します。

探索レポートの活用事例
Eコマースサイトのショッピングカート離脱率の低下
あるEコマースサイトでは、GA4の探索レポートを利用してショッピングカートの離脱率を詳細に分析。ユーザーが最も離脱するステップを特定し、その原因として複雑な支払い手続きを特定。その結果、一連の支払いプロセスのシンプル化とガイダンスの導入により、離脱率を20%低減させることができました。B2B企業のリード獲得の最適化:
B2B企業のある企業は、ダウンロードコンテンツのフォーム入力画面での離脱率が高いことを探索レポートで確認。ユーザーの行動データを詳細に分析した結果、必須入力項目が多すぎることが主な原因と判明。不要な項目を削除し、フォームのデザインを見直すことで、リード獲得率を25%向上させることができました。旅行予約サイトの検索機能の改善
大手旅行予約サイトは、GA4の探索レポートを使用して、ユーザーの検索トレンドや結果ページでの行動を分析。ユーザーが特定のキーワードで不適切な結果を受け取っていることを発見し、検索アルゴリズムの修正とキーワードマッピングの再構築を行うことで、ユーザーサティスファクションを大幅に向上させました。これらの成功事例は、GA4のデータ分析がビジネスの実際の課題解決にどれほど寄与するかを示しています。継続的なデータの監視と分析を通じて、ビジネスの成果を最大化する施策を実行することができます。
GA4探索レポートの注意点
このようにGA4の探索レポートは便利で、事業を推進するうえでサイト内の流入状況が詳細に分かり非常に便利ではありますが、注意しないといけないこともあります。データの過解釈
GA4の探索レポートは詳細なデータを確認できるものの、短期間のデータ変動を過度に解釈しすぎないようにしましょう。例えば、ある日のトラフィックの急増を即座に良いことや成功と思ってその部分を強化する決断をする場合です。外部要因(キャンペーン、イベントなど)やデータ収集のバグがないかどうか確認することが重要です。セグメンテーションの過度な利用
GA4では細かいセグメントを使って詳細に分析することができますが、あまり細分化しすぎてしまうとデータが局所的なものになってしまい良い知見が得られたと思っても、たまたまそうなっただけの場合もあります。全体像を見失わないようにしましょう。コンバージョンのアトリビューション
GA4のアトリビューションモデルは従来のUniversal Analyticsとは異なるため、過去のデータとの比較や知見の解釈に注意が必要です。特に、どのマーケティングチャンネルがコンバージョンに最も寄与しているかは表記が異なる部分もあるので、判断を誤ったりそもそも分からないままになる可能性があります。Universal Analyticsとは一致しないという前提に立って、分析を進めるようにしましょう。期待するデータが表示されない
GA4はカスタマイズが非常に高度であるため、探索レポートで期待するデータが表示されない場合、設定ミスやフィルタの適用忘れなどの原因が考えられます。定期的な設定の見直しと確認を行うことで、このような落とし穴を避けることができます。 これらの注意点を理解し、適切なアクションをとることで、GA4探索レポートを最大限に活用することができます。最後に
GA4の探索レポートはこれからもますます進化して、使いやすくなっていくことでしょう。今後もその変化に目が放せないですし、注目していきましょう。